結論
居宅介護支援事業所では、利用者や家族がサービスを選択するために必要な「重要事項」を、事業所内に掲示する必要があります。
また、現在は事業所内への掲示だけでなく、重要事項をウェブサイトにも掲載することが原則として求められています。
- 重要事項は事業所内の見やすい場所に掲示する必要がある
- 重要事項を記載したファイル等を備え付け、自由に閲覧できる状態にする方法も認められている
- 重要事項は原則としてウェブサイトにも掲載する必要がある
- ウェブサイトには法人ホームページ等や介護サービス情報公表システムが含まれる
- 介護支援専門員の勤務体制は、氏名まで掲示する必要はない
- 第三者評価を実施している場合は、その実施状況も重要事項として確認できるようにする
- 掲示・閲覧用ファイル・ウェブサイトの内容は、変更があれば更新する
現在の居宅介護支援事業所に求められる掲示・ウェブサイト掲載のルールについて、運営基準第22条と厚生労働省の解釈通知をもとに解説します。
居宅介護支援の掲示義務とは
居宅介護支援事業所には、利用申込者やその家族がサービスを選択するために必要な重要事項を、事業所内に掲示する義務があります。
利用開始時には重要事項説明書による説明を行いますが、それだけではありません。
サービス利用中も、利用者や家族が事業所の情報を確認できるようにしておくことが求められています。
運営基準第22条では、次のような事項を掲示することとされています。
- 運営規程の概要
- 介護支援専門員の勤務体制
- 事故発生時の対応
- 苦情処理の体制
- 第三者評価の実施状況
- その他、利用申込者のサービス選択に資すると認められる重要事項
単に掲示物を作成するだけではなく、利用者や家族が実際に確認できる状態にしておくことが重要です。
居宅介護支援で掲示する重要事項とは
では、具体的にどのような内容を掲示すればよいのでしょうか。
居宅介護支援の運営規程の概要
事業所の運営規程の概要を掲示します。
例えば、
- 事業所の運営方針
- 営業日
- 営業時間
- 通常の事業の実施地域
- サービスの内容
など、利用者が事業所を選択するために必要な情報です。
運営規程を変更した場合には、掲示している内容も確認しておきましょう。
介護支援専門員の勤務体制
介護支援専門員の勤務体制も掲示する必要があります。
ただし、介護支援専門員の氏名まで掲示する必要はありません。
解釈通知では、勤務体制については、職種ごとの常勤・非常勤の別や人数などを掲示すれば足りるとされています。
例えば、
- 常勤介護支援専門員 ○名
- 非常勤介護支援専門員 ○名
といった表示で対応できます。
事故発生時の対応
事故が発生した場合の対応についても、重要事項として確認できるようにします。
事故が発生した場合に、どのような対応を行うのかを利用者や家族が確認できるようにするためです。
苦情処理の体制
苦情を受け付ける窓口や相談体制についても掲示します。
例えば、
- 苦情相談窓口
- 苦情担当者
- 連絡先
- 苦情処理の方法
などです。
担当者や連絡先を変更した場合には、掲示内容も更新しましょう。
第三者評価の実施状況
第三者評価の実施状況も重要事項に含まれます。
解釈通知では、例えば次のような内容が示されています。
- 第三者評価の実施の有無
- 実施した直近の年月日
- 実施した評価機関の名称
- 評価結果の開示状況
第三者評価を実施している場合は、こうした情報を確認できるようにしておきます。
居宅介護支援の掲示場所はどこでもよいのか
重要事項は、利用者や家族が見やすい場所に掲示することが必要です。
例えば、
- 受付付近
- 利用者が出入りする場所
- 相談スペースの周辺
などが考えられます。
一方、
- 職員専用スペース
- 事務室の奥
- 利用者が通常入らない場所
などでは、利用者や家族が確認しにくくなります。
重要なのは、利用者や家族が必要なときに確認できる状態になっているかということです。
居宅介護支援は掲示の代わりにファイル閲覧でもよい
運営基準第22条では、重要事項を壁などに掲示する方法だけでなく、ファイル等を備え付けて自由に閲覧できる状態にする方法も認められています。
居宅介護支援で認められる閲覧方式
重要事項を記載した書面やファイル等を事業所内に備え付け、利用申込者、利用者またはその家族などが自由に閲覧できる状態にします。
例えば、
- 重要事項ファイルを受付に設置する
- 事業所案内のラックに備え付ける
- 利用者が自由に確認できる場所に置く
といった方法です。
居宅介護支援で注意したいポイント
重要事項ファイルを作っただけでは十分ではありません。
利用者や家族が自由に閲覧できる状態にしておくことが必要です。
職員しか入れない場所に保管している場合や、特別な許可がなければ閲覧できない状態では、自由に閲覧できる環境とはいえません。
居宅介護支援のホームページ掲載義務とは
現在は、事業所内への掲示に加えて、重要事項をウェブサイトにも掲載することが原則として求められています。
令和6年度介護報酬改定に伴う基準改正で、重要事項のウェブサイトへの掲載に関する規定が設けられました。
現在は経過措置の期間を過ぎているため、原則としてウェブサイトへの掲載が必要です。
居宅介護支援のウェブサイト掲載先
厚生労働省の解釈通知では、ウェブサイトとして、
- 法人のホームページ等
- 介護サービス情報公表システム
が示されています。
そのため、事業所が独自のホームページを持っていないからといって、必ず新しくホームページを作成しなければならないということではありません。
法人のホームページ等への掲載や、介護サービス情報公表システムへの掲載が考えられます。
介護サービス情報公表制度の対象外の場合
介護サービス情報公表制度における報告義務の対象外となる事業所については、ウェブサイトへの掲載が「望ましい」とされる場合があります。
ただし、ウェブサイトへの掲載が必須でない場合であっても、事業所内で重要事項を確認できるようにしておく必要があります。
居宅介護支援の掲示とホームページ掲載は別に考える
ここは実務上、注意したいポイントです。
「ホームページに掲載したから、事業所内に掲示しなくてもよい」ということではありません。
原則として、
事業所内での掲示等+ウェブサイトへの掲載
の両方について確認する必要があります。
ただし、事業所内への掲示については、重要事項を記載したファイル等を備え付け、利用者や家族が自由に閲覧できる状態にすることで、掲示に代えることができます。
つまり、事業所では次のように整理できます。
| 項目 | 対応 |
|---|---|
| 事業所内の重要事項 | 掲示する |
| 掲示の代替 | 重要事項ファイル等を自由に閲覧できる状態で備え付ける |
| ウェブサイト | 原則として掲載する |
| 掲載先 | 法人ホームページ等、介護サービス情報公表システムなど |
居宅介護支援の掲示義務で運営指導前に確認するポイント
運営指導前には、「掲示してあるか」だけでなく、内容が現在の事業所の状況と一致しているかも確認しておきましょう。
運営規程と掲示内容が一致しているか
運営規程を変更したにもかかわらず、掲示内容が古いままになっていないか確認します。
特に、
- 営業日
- 営業時間
- 通常の事業の実施地域
- サービス内容
などを確認しましょう。
介護支援専門員の勤務体制が最新になっているか
介護支援専門員の増減があった場合には、勤務体制の掲示内容も確認します。
実際の職員数と掲示している人数が違っていないかチェックしておきましょう。
苦情相談窓口が現在の体制になっているか
苦情担当者や連絡先が変更されている場合は、掲示内容も更新します。
ホームページの掲載内容が最新になっているか
事業所内に掲示している内容は最新でも、ホームページが古いままになっているケースがあります。
そのため、
- 事業所内の掲示
- 重要事項ファイル
- 重要事項説明書
- 運営規程
- ホームページ等
の内容を確認し、現在の事業所の状況と大きく食い違っていないか確認しておくと安心です。
H2 居宅介護支援の掲示義務まとめ
居宅介護支援事業所では、利用者や家族が事業所を選択するために必要な重要事項を、事業所内で確認できるようにしておく必要があります。
重要事項は見やすい場所に掲示する方法のほか、重要事項を記載したファイル等を備え付け、利用者や家族が自由に閲覧できる状態にする方法も認められています。
また、現在は原則として重要事項をウェブサイトにも掲載する必要があります。
運営指導前には、次の点を確認しておきましょう。
- 重要事項を事業所内に掲示しているか
- 掲示に代えてファイル等を備え付ける場合、自由に閲覧できる状態になっているか
- 原則としてウェブサイトにも重要事項を掲載しているか
- 運営規程と掲示内容が一致しているか
- 介護支援専門員の勤務体制が最新になっているか
- 苦情相談窓口などの情報が最新になっているか
- ウェブサイトの掲載内容が古くなっていないか
「掲示しているから大丈夫」ではなく、利用者や家族が必要な情報を確認できること、そして掲載内容が現在の事業所の状況と一致していることまで確認することが大切です。
参考資料
厚生労働省「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」第22条
厚生労働省「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準について(解釈通知)」
厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」
厚生労働省「介護サービス情報公表システム」

コメント