居宅介護支援の「勤務体制の確保」とは?第19条のポイントをわかりやすく解説

運営基準

居宅介護支援事業所では、介護支援専門員が適切に業務を行えるよう、事業所として勤務体制を整えておく必要があります。

指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準第19条では、この「勤務体制の確保」について定められています。

第19条は、単に勤務表を作成するだけの規定ではありません。

勤務体制を明確にすること、事業所の介護支援専門員に業務を担当させること、研修機会を確保すること、そしてハラスメントを防止することまで定められています。

この記事では、第19条の内容をケアマネジャーの実務に沿ってわかりやすく整理します。


この記事の結論

居宅介護支援の勤務体制の確保では、事業所として次のことが重要です。

  • 勤務体制を明確にする
  • 原則として月ごとの勤務表を作成する
  • 勤務時間や常勤・非常勤の別などを明確にする
  • 当該事業所の介護支援専門員に居宅介護支援業務を担当させる
  • 介護支援専門員の資質向上のため、研修機会を確保する
  • セクシュアルハラスメントやパワーハラスメントを防止するための措置を講じる

つまり、第19条は、

「ケアマネが適切に仕事をできる勤務・教育・ハラスメント防止の体制を、事業所として整えておきましょう」

という規定です。


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居宅介護支援の「勤務体制の確保」とは?

第19条第1項では、指定居宅介護支援事業所ごとに、介護支援専門員その他の従業者の勤務体制を定めることが求められています。

簡単にいうと、

「誰が、いつ、どのような勤務体制で働いているのか」を事業所として明確にしておく

ということです。

勤務体制が明確になっていなければ、必要な人員が配置されているのか、実際にどのような勤務をしているのかを確認することができません。

そのため、勤務表などを整備して、職員の勤務状況を明確にしておくことが重要です。


第19条第1項|勤務体制を明確にする

原則として月ごとの勤務表を作成する

第19条では、事業所ごとに勤務体制を定めることが求められています。

具体的には、解釈通知において、原則として月ごとの勤務表を作成し、介護支援専門員について必要な事項を明確にすることとされています。

勤務表では、例えば次のような内容を確認できるようにします。

  • 日々の勤務時間
  • 常勤・非常勤の別
  • 管理者との兼務関係

勤務表を作成することで、

「この日は誰が勤務しているのか」

「このケアマネは常勤なのか非常勤なのか」

「管理者を兼務しているのか」

といった勤務状況を確認できるようになります。


勤務表と実際の勤務状況を一致させる

勤務表を作成するだけでなく、実際の勤務状況と内容が一致していることも重要です。

例えば、

  • 勤務表では勤務となっているが実際には勤務していない
  • 勤務時間が実態と異なっている
  • 常勤・非常勤の区分が実態と合っていない
  • 管理者との兼務状況が実際と異なっている

といった状態にならないよう注意しましょう。

勤務表は、事業所の勤務体制を確認するための基本的な記録です。


第19条第2項|事業所の介護支援専門員に業務を担当させる

第19条第2項では、

当該指定居宅介護支援事業所の介護支援専門員に、指定居宅介護支援の業務を担当させなければならない

とされています。

これは、指定居宅介護支援の業務を、事業所の介護支援専門員が担当する体制を確保するということです。

そのため、事業所のケアマネが適切に居宅介護支援業務を担当できる勤務体制を整えておく必要があります。


介護支援専門員の補助業務はどうなる?

第19条第2項には、介護支援専門員の補助業務についての例外も設けられています。

つまり、居宅介護支援業務のすべてを介護支援専門員本人だけで行わなければならないという意味ではありません。

介護支援専門員の業務を補助することについては、一定の範囲で認められています。

ただし、事業所として誰がどの業務を担当するのかを適切に整理しておくことが大切です。


第19条第3項|介護支援専門員の研修機会を確保する

第19条第3項では、事業者に対して、介護支援専門員の資質の向上のために、研修の機会を確保することが求められています。

介護保険制度は、定期的に制度改正が行われます。

また、ケアマネジャーには、

  • 医療との連携
  • 認知症への対応
  • 権利擁護
  • 虐待防止
  • 感染症対策
  • 災害への備え
  • ケアマネジメントに関する知識

など、幅広い知識が求められています。

そのため、事業所として継続的に学ぶ機会を確保することが重要です。


どのような研修を行えばいい?

研修には、さまざまな方法があります。

例えば、

  • 事業所内研修
  • 外部研修
  • オンライン研修
  • 制度改正に関する研修
  • ケアマネジメントに関する研修

などです。

大切なのは、介護支援専門員が必要な知識や技術を継続して学べる環境を整えることです。

また、研修を実施した場合には、研修内容や参加状況などを記録しておくと、事業所として研修機会を確保していることを確認しやすくなります。


第19条第4項|ハラスメントを防止する

第19条第4項では、職場におけるハラスメントによって介護支援専門員の就業環境が害されることを防止するため、必要な措置を講じることが求められています。

対象となるものとして、セクシュアルハラスメントやパワーハラスメントがあります。


セクシュアルハラスメントとは?

セクシュアルハラスメントとは、職場における性的な言動によって、職員の就業環境が害されることなどをいいます。

介護支援専門員も、職場で働く労働者として、こうしたハラスメントから守られる必要があります。

事業所として、ハラスメントを防止するための方針を明確にし、職員へ周知することが重要です。


パワーハラスメントとは?

パワーハラスメントは、職場において、

  • 優越的な関係を背景とした言動
  • 業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動
  • その結果として職員の就業環境が害されること

などを満たすものです。

単に上司から注意を受けたからといって、すべてがパワーハラスメントになるわけではありません。

一方で、必要な指導の範囲を超えて、職員の人格を否定するような言動などが行われれば、問題となる可能性があります。

事業所として、ハラスメントを防止するための体制を整えておくことが重要です。


事業所としてハラスメント防止の方針を明確にする

ハラスメントを防止するためには、

「ハラスメントを許さない」という事業所の方針を明確にすること

が重要です。

さらに、その方針を職員に周知し、ハラスメントが発生した場合に適切に対応できる体制を整えておく必要があります。

例えば、

  • ハラスメント防止に関する方針を定める
  • 職員へ周知する
  • ハラスメントに関する研修を行う
  • 職員が相談できる体制を整える
  • ハラスメントが発生した場合の対応方法を整理する

などが考えられます。

重要なのは、規定を作るだけで終わらせず、職員が安心して相談でき、実際に対応できる仕組みにしておくことです。


利用者や家族からのハラスメントはどう考える?

介護現場では、職員同士だけではなく、利用者やその家族等からの暴言や威圧的な言動などが問題になることがあります。

例えば、

  • 大声で怒鳴る
  • 人格を否定するような発言をする
  • 執拗に苦情を繰り返す
  • 不当な要求をする
  • 長時間にわたって職員を拘束する

といったケースです。

こうしたカスタマーハラスメントについても、事業所として適切に対応することが重要です。

厚生労働省も、介護現場における利用者・家族等からのハラスメント対策について、事業者による防止のための取組を推奨しています。

ただし、ここは注意が必要です。

第19条第4項で明確に規定されている職場のハラスメント対策と、利用者・家族等からのカスタマーハラスメント対策は、同じものとして扱わないようにしましょう。

利用者や家族からのハラスメントについては、職員を一人で対応させず、管理者等へ報告・相談できる体制を整えておくことが実務上重要です。


運営指導で確認される勤務体制確保のポイント

勤務体制の確保については、事業所の運営状況を確認する中で、勤務表や研修記録などの関係書類が確認されることがあります。

特に、次のような点を日頃から確認しておくとよいでしょう。

勤務体制

  • 勤務表を作成しているか
  • 勤務時間が明確になっているか
  • 常勤・非常勤の別が明確になっているか
  • 管理者との兼務関係が明確になっているか
  • 実際の勤務状況と勤務表が一致しているか

介護支援専門員の業務担当

  • 事業所の介護支援専門員が居宅介護支援業務を担当しているか
  • 誰がどの業務を担当しているのか整理されているか

研修

  • 介護支援専門員の研修機会を確保しているか
  • 研修を実施した記録が残っているか
  • 制度改正など、必要な知識を学ぶ機会を確保しているか

ハラスメント対策

  • ハラスメント防止の方針を明確にしているか
  • 職員へ周知しているか
  • 相談・対応できる体制を整えているか
  • ハラスメントが発生した場合の対応方法を整理しているか

ケアマネジャーが押さえておきたい第19条のポイント

第19条は、「勤務表を作成しましょう」というだけの規定ではありません。

大きく分けると、次の4つを押さえておけば理解しやすくなります。

条文ポイント
第1項勤務体制を定める
第2項事業所の介護支援専門員に業務を担当させる
第3項介護支援専門員の研修機会を確保する
第4項セクハラ・パワハラを防止するための措置を講じる

つまり、第19条は、

「適切な勤務体制を整え、ケアマネが必要な業務を担当でき、継続して学ぶことができ、ハラスメントから守られる職場環境を整えましょう」

という内容です。


ケアマネが実務で確認しておきたいこと

ケアマネジャー個人としても、勤務体制について次の点を確認しておくと安心です。

① 自分の勤務状況が勤務表に正しく反映されているか

勤務日や勤務時間などが、実際の勤務状況と合っているか確認しましょう。

② 研修の機会が確保されているか

制度改正やケアマネジメントに関する必要な知識を学ぶ機会があるか確認しましょう。

③ ハラスメントが起きたときの相談先を知っているか

ハラスメントが発生した場合に、誰に相談すればよいのかを事前に確認しておくことも大切です。

④ 一人で抱え込まない

利用者や家族等からの暴言や威圧的な言動などがあった場合も、ケアマネジャー一人で抱え込まず、管理者や事業所内で共有することが重要です。


まとめ|第19条は「働く体制」を整えるためのルール

居宅介護支援の運営基準第19条では、事業所の勤務体制について定められています。

ポイントは次の4つです。

① 勤務体制を明確にする

原則として月ごとの勤務表を作成し、勤務時間や常勤・非常勤の別、管理者との兼務関係などを明確にします。

② 事業所の介護支援専門員に業務を担当させる

指定居宅介護支援の業務を、当該事業所の介護支援専門員が担当する体制を確保します。

③ 研修機会を確保する

介護支援専門員の資質向上のため、継続的に学ぶ機会を確保します。

④ ハラスメントを防止する

セクシュアルハラスメントやパワーハラスメントによって、介護支援専門員の就業環境が害されないよう、必要な措置を講じます。

勤務体制の確保は、単に書類を整えるためのルールではありません。

ケアマネジャーが適切に仕事を続け、利用者へ安定した居宅介護支援を提供するための基盤となるルールです。

事業所として勤務体制・研修・ハラスメント防止の仕組みを整え、実際の運用と記録が一致している状態を維持することが大切です。

居宅介護支援の勤務体制確保|管理者向けチェックリスト


参考・根拠

  • 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準
  • 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準について(解釈通知)
  • 厚生労働省「介護現場におけるハラスメント対策」
  • 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(男女雇用機会均等法)
  • 労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(労働施策総合推進法)

※この記事は厚生労働省の通知・基準をわかりやすく整理したものです。 実際の判断や運用を行うときは、必ず厚生労働省が公表している正式な文章(通知・PDF)を確認してください。

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