2026年4月10日付で厚生労働省から、介護予防・日常生活支援総合事業(以下「総合事業」)のお金の扱いに関する重要な通知(介護保険最新情報 Vol.1492)が出ました。内容は財政・補助金の話で少し硬いのですが、実はサービスの継続や処遇改善に直結する、大事なルール変更です。
結論から言うと
総合事業にかかる「お金の上限」を、国がより柔軟に認める仕組みに整理し直した通知であり、
市町村・事業者・介護職員・利用者の「安心して続けられる総合事業」を支えるための財政ルール改正です。
要点を先にまとめると
- 総合事業には国が決めた「お金の上限」があるが、特別な理由があれば上限超過分も国が補助金として認める仕組みがある。
- 今回の介護保険最新情報 Vol.1492は、その「特別な理由」を9つに整理し、計算方法や協議の流れをわかりやすくした通知。
- 処遇改善加算や新しい介護予防プログラムなど、現場でよく出てくるケースの扱いが明確になり、市町村が国に申請しやすくなった。
- 結果として、総合事業のサービスが減らされにくくなり、事業者の委託費や介護職員の賃金改善が続きやすくなる。
- ケアマネジャーにとっては、「総合事業の財源が不安だからサービス縮小」というリスクが下がり、安心して提案・継続支援がしやすくなる。
総合事業とお金の上限とは?介護保険最新情報 Vol.1492の位置づけ
総合事業は、市町村が主体となって行う「介護予防」と「日常生活の支援」の仕組みです。
その総合事業に使えるお金には、国が決めた「原則の上限額」があります。
今回の介護保険最新情報 Vol.1492は、この「上限を超えたときに、どのような場合なら国が追加で補助金を認めるか」というルールを整理・改正した通知です。
- 市町村にとって:上限を超えた分を国に申請しやすくなる
- 事業者にとって:委託費や加算が安定して支払われやすくなる
- 介護職員にとって:処遇改善加算などによる賃金改善が続きやすくなる
- 利用者にとって:サービスが急に縮小されるリスクが下がる
ケアマネジャーとしては、「総合事業の財政ルールが安定方向に見直された」と押さえておくとイメージしやすいです。
そもそも総合事業とは?総合事業の基本と目的
総合事業(介護予防・日常生活支援総合事業)は、65歳以上の高齢者が次のように暮らせるよう支える市町村の事業です。
- できるだけ元気に
- できるだけ自宅で
- できるだけ介護が必要にならないように
具体的には、次のようなサービスが含まれます。
- 訪問型サービス:掃除・洗濯・買い物など、生活を支える支援
- 通所型サービス:運動・口腔機能向上・栄養改善など、介護予防のための通いの場
- 住民主体の通いの場やサロン:地域の集まりや体操教室など
要支援者や事業対象者が主な対象ですが、地域づくりや住民主体の活動も含めて、「介護が必要になる前から支える仕組み」が総合事業です。
総合事業にある「お金の上限」とは?総合事業の財政ルール
総合事業に使えるお金には、国が定める「原則の上限額」があります。
これは、国と市町村が負担するお金の枠を決めるための目安です。
しかし、現場では次のような理由で、どうしても上限を超えてしまうことがあります。
- 災害で支援が必要な人が増えた
- 新しい介護予防プログラムを始めた
- 介護職員の処遇改善加算を支払う必要がある
- 離島や小規模自治体で、サービス提供にお金がかかる
こうした場合に、「上限を超えた分も国が補助金として認めるかどうか」を決めるルールが、今回の通知のテーマです。
介護保険最新情報 Vol.1492で整理された9つの特別な理由(総合事業のお金の上限)
通知では、「上限を超えても国が補助金を認める特別な理由」が9つに整理されています。
ケアマネジャーがイメージしやすいように、かみ砕いてまとめます。
① 災害で支援が必要な高齢者が増えた場合
- 地震・台風・豪雨・感染症の流行などで、支援が必要な高齢者が急に増えたケース。
- 避難生活や生活再建の支援などで、総合事業の利用が増え、費用が上限を超えることがあります。
② 効果の高い新しい介護予防プログラムを始めた場合
- 新しい運動プログラムや、フレイル予防の取り組みなど、効果が期待できる介護予防プログラムを始めたとき。
- 最初の3年間だけ、特別に上乗せを認める仕組みが整理されています。
③ 75歳以上の人口が減っているのに費用が増える場合
- 一見すると「高齢者が減っているのに、なぜ費用が増えるのか?」というケース。
- 実際には、要支援・事業対象者の割合が増えるなど、人口構成の変化で費用が増えることがあります。
- こうした場合も、一定の条件で上限超過分が認められます。
④ 人口1万人未満の小さな町で人材確保が難しい場合
- 人口1万人未満の小規模自治体では、介護職員や専門職の確保が難しく、1人あたりのコストが高くなりがちです。
- その結果、総合事業の費用が上限を超える場合に、特例として認める仕組みです。
⑤ 離島などでサービス提供が難しく費用がかかる場合
- 離島・中山間地域など、移動に時間と費用がかかる地域。
- 交通費や人件費がかさみ、総合事業の費用が高くなりやすいケースです。
⑥ 介護予防支援を使う人が急に増えた場合
- 要支援認定者や事業対象者が増え、介護予防支援の利用者数が急増した場合。
- ケアマネジャーの関わりも増え、総合事業の費用が上限を超えることがあります。
⑦ 介護職員の賃金を上げるための加算を支払った場合(処遇改善加算など)
- 介護職員処遇改善加算・特定処遇改善加算などを総合事業の委託費に反映した場合。
- その分、総合事業の費用が上限を超えることがありますが、今回の通知で「上限を超えても補助金として認める」扱いが明確になりました。
⑧ 継続利用の要介護者にサービスを提供した場合
- 要介護認定に移行しても、継続的に総合事業のサービスを利用している人がいるケース。
- 継続支援のための費用が増え、上限を超える場合があります。
⑨ 効果的な介護予防で要介護→要支援・非該当になった人が多い場合
- 総合事業の取り組みがうまくいき、要介護から要支援・事業対象者・非該当へと改善した人が多い場合。
- いわば「成果に応じた上乗せ」で、効果的な介護予防を評価する仕組みです。
今回の改正で変わる総合事業のお金のルール(介護保険最新情報 Vol.1492)
今回の通知では、上限を超えたときの「特別ルール」が整理され、特に次の3点が大きなポイントです。
処遇改善加算の扱いが整理され、総合事業でも安定して支払いしやすく
- 市町村が総合事業の委託費の中で処遇改善加算等を支払った場合、
その分が上限を超えても、国が補助金として認める仕組みが明確化されました。 - これにより、
- 事業者は処遇改善加算を受け取りやすくなる
- 介護職員の賃金改善・ベースアップが続きやすくなる
新しい介護予防プログラムの扱いがより具体的に
- 新しい介護予防プログラムを始めたときの1年目・2年目・3年目の上乗せ額の計算方法が、より細かく規定されました。
- これにより、
- 市町村は新しい取り組みを計画しやすくなる
- 効果が期待できるプログラムを試しやすく、続けやすくなる
複数の理由で上限を超える場合の計算ルールと、事前協議・事後協議の整理
- 災害・処遇改善加算・離島など、複数の理由が重なって上限を超える場合の計算方法が整理されました。
- また、
- あらかじめ見込める場合は「事前協議」
- 年度途中で想定外に増えた場合は「事後協議」
といった、国との協議の使い分けも明確になっています。
この改正で誰がどうなる?総合事業のお金の上限と現場への影響
高齢者・利用者への影響
- サービスが減らされにくくなる
- 新しい介護予防プログラムが続きやすくなる
- 「予算が足りないから中止」という事態が起こりにくくなります。
事業者への影響
- 市町村の予算不足を理由に、委託費が削られるリスクが減る
- 処遇改善加算が安定して支払われやすくなる
- 新しいプログラムにも取り組みやすくなります。
介護職員への影響
- 賃金改善が継続しやすい
- ベースアップが途中で止まりにくい
- 総合事業の現場でも、処遇改善の恩恵を受けやすくなります。
市町村への影響
- 上限を超えた分を国に申請しやすくなる
- 財政運営が安定しやすくなる
- 新しい介護予防の取り組みや、地域特性に応じたサービスを続けやすくなる
ケアマネジャー視点で押さえたい実務ポイント(総合事業とお金の上限)
ケアマネジャーとして、この通知をどう現場に結びつけて考えるかを整理します。
1. 「総合事業だから不安定」というイメージを少し修正する
- これまでは、
「総合事業は市町村の裁量が大きく、財源次第で縮小されるかも」
という不安を感じていた方もいるかもしれません。 - 今回の通知で、上限超過分を国が認める理由が整理され、処遇改善加算の扱いも明確になったことで、
総合事業の安定性は一歩前進したと捉えられます。
2. 利用者への説明トークのイメージ
利用者や家族から、
「総合事業って、途中でサービスがなくなったりしないの?」
と聞かれたときの説明イメージです。
- 「国と市町村で、総合事業に使えるお金の目安は決まっていますが、
災害や新しい介護予防の取り組み、職員の賃金改善など、必要な場合には、
上限を超えた分も国が認める仕組みが整えられています。」 - 「今回、国のルールが整理されて、総合事業のサービスを続けやすくする方向で見直されています。」
こうした説明ができると、利用者の不安を和らげつつ、制度の背景も伝えやすくなります。
3. 地域ケア会議や多職種連携の場での活かし方
- 地域ケア会議や事業者連絡会などで、
- 「総合事業の新しいプログラムを立ち上げたい」
- 「処遇改善を反映した委託単価にしたい」
といった話題が出たとき、
今回の通知で国のルールが整理されたことを共有すると、前向きな議論につながります。
4. ケアマネジメントへの影響
- 総合事業の財政ルールが安定方向に見直されたことで、
- 「予算が不安だから、総合事業は控えめに…」ではなく、
- 利用者にとって必要なサービスを、根拠をもって提案しやすくなる
と考えられます。
まとめ:総合事業のお金の上限を柔軟にし、サービスの継続性を高める改正
今回の介護保険最新情報 Vol.1492は、
総合事業の「お金の上限」を柔軟にし、市町村・事業者・介護職員が安心してサービスを続けられるようにするための財政ルール改正です。
- 上限を超えても国が補助金を認める9つの特別な理由が整理された
- 処遇改善加算や新しい介護予防プログラムの扱いが明確になった
- 複数の理由が重なる場合の計算方法や、事前協議・事後協議の整理が進んだ
その結果、
- サービスの継続性
- 職員の処遇改善
- 利用者の安心
に、じわじわと効いてくる改正と言えます。
ケアマネジャーとしては、
「総合事業の財政ルールが整えられ、必要なサービスを続けやすくする方向に動いている」
という大きな流れを押さえつつ、
日々のケアマネジメントや説明の中で、少しずつ活かしていけると良いと思います。
【引用・出典】
- 厚生労働省「介護保険最新情報 Vol.1492(介護予防・日常生活支援総合事業に係る費用の取扱い等について)」2026年4月10日付通知(厚生労働省ホームページ:mhlw.go.jp)


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