居宅介護支援の運営規程をやさしく解説|運営基準第18条とケアマネの実務ポイント

運営基準

【結論】運営規定は「事業所の基本ルール」を定めるもの

居宅介護支援の運営規程とは、指定居宅介護支援事業所の運営についての重要事項を定めた規程です。

運営基準第18条では、指定居宅介護支援事業者に対して、事業所ごとに次の7項目を運営規程として定めることを求めています。

  • 事業の目的及び運営の方針
  • 職員の職種、員数及び職務内容
  • 営業日及び営業時間
  • 指定居宅介護支援の提供方法、内容及び利用料その他の費用の額
  • 通常の事業の実施地域
  • 虐待の防止のための措置に関する事項
  • その他運営に関する重要事項

厚生労働省の解釈通知では、第18条は、指定居宅介護支援の事業の適正な運営と、利用者等に対する適切な居宅介護支援の提供を確保するための規定とされています。

そのため、運営規程は単なる書類ではなく、事業所がどのように運営されるのかを明確にするための基本ルールと考えると分かりやすいでしょう。


スポンサーリンク
  1. 運営規程とは何か?
  2. 運営規程に定める7つの項目
  3. 運営規程①|事業の目的及び運営の方針
    1. 事業所としての基本的な考え方を示す
  4. 運営規程②|職員の職種・員数・職務内容
    1. どのような職員が何人いるのかを明確にする
    2. 「○人以上」と記載できる
  5. 運営規程③|営業日及び営業時間
    1. いつ相談・対応できる事業所なのかを示す
  6. 運営規程④|指定居宅介護支援の提供方法・内容・利用料等
    1. 提供方法・内容には何を書く?
    2. 居宅介護支援の利用料はどうなる?
  7. 運営規程⑤|通常の事業の実施地域
    1. 「通常どの地域を対象にするのか」を明確にする
    2. 通常の事業の実施地域を超えて支援してはいけない?
  8. 運営規程⑥|虐待の防止のための措置
    1. 運営規程に虐待防止について定める
    2. 虐待防止については第27条の2も確認
    3. 虐待が疑われる場合の対応も確認しておく
  9. 運営規程⑦|その他運営に関する重要事項
    1. 運営規程と重要事項説明書は同じもの?
    2. ケアマネが運営規程を確認するときのポイント
  10. 運営規程は「作って終わり」ではない
  11. ケアマネが覚えておきたい「第18条」のポイント
    1. ① 目的・方針
    2. ② 職員
    3. ③ 営業日・営業時間
    4. ④ 提供方法・内容・費用
    5. ⑤ 実施地域
    6. ⑥ 虐待防止
    7. ⑦ その他重要事項
  12. まとめ|運営基準第18条は「事業所の基本ルール」を定める規定
  13. 参考条文

運営規程とは何か?

運営基準第18条では、指定居宅介護支援事業所ごとに、事業の運営についての重要事項を定めた「運営規程」を作成することが求められています。

つまり、

「この事業所は、どのような方針で、誰が、いつ、どのような方法で居宅介護支援を提供するのか」

を整理したものが運営規程です。

運営規程を見ることで、事業所の基本的な運営方法を確認できます。

例えば、

  • どのような方針で事業を行うのか
  • どのような職員が配置されているのか
  • いつ営業しているのか
  • どのように居宅介護支援を提供するのか
  • 通常どの地域を対象としているのか
  • 虐待防止についてどのような措置を講じるのか

などが分かります。


運営規程に定める7つの項目

運営基準第18条では、次の7項目を運営規程に定めることとされています。

① 事業の目的及び運営の方針
② 職員の職種、員数及び職務内容
③ 営業日及び営業時間
④ 指定居宅介護支援の提供方法、内容及び利用料その他の費用の額
⑤ 通常の事業の実施地域
⑥ 虐待の防止のための措置に関する事項
⑦ その他運営に関する重要事項

ここから、それぞれをケアマネジャーの実務と関連付けて見ていきます。


運営規程①|事業の目的及び運営の方針

事業所としての基本的な考え方を示す

「事業の目的及び運営の方針」では、その居宅介護支援事業所が、どのような考え方で事業を行うのかを定めます。

例えば、

  • 利用者の意思及び人格を尊重する
  • 利用者の立場に立って居宅介護支援を行う
  • 利用者自身によるサービスの選択を尊重する
  • 公正・中立な立場で支援する
  • 保健・医療・福祉サービスとの連携を図る

といった事業所としての基本的な方針を定めることが考えられます。

ただし、これらすべてが第18条に個別に記載するよう列挙されているわけではありません

居宅介護支援では、利用者の意思や人格を尊重し、利用者の立場に立って支援することが基本となっているため、こうした考え方を事業所の運営方針として整理するものです。


運営規程②|職員の職種・員数・職務内容

どのような職員が何人いるのかを明確にする

運営規程には、

職員の職種、員数及び職務内容

を記載します。

厚生労働省の解釈通知では、職員について、

介護支援専門員とその他の職員に区分して、員数及び職務内容を記載する

とされています。

例えば、

  • 介護支援専門員
  • 管理者
  • 事務職員などのその他の職員

について、それぞれの人数や職務内容を整理します。

「○人以上」と記載できる

職員の人数は、採用や退職などによって変動することがあります。

そのため、厚生労働省の解釈通知では、基準上必要とされる員数を満たす範囲で、

「○人以上」

と記載しても差し支えないとされています。

ここは運営規程を確認するときの実務上のポイントです。

単純に「現在の職員数だけ」を記載するのではなく、基準を満たす員数が確保されていることが重要です。


運営規程③|営業日及び営業時間

いつ相談・対応できる事業所なのかを示す

運営規程には、

営業日及び営業時間

を定めます。

例えば、

  • 営業日:月曜日から金曜日
  • 休日:土曜日、日曜日、祝日、年末年始
  • 営業時間:午前9時から午後5時

などです。

実際の事業所の営業日・営業時間と運営規程の記載が一致していることが重要です。

例えば、運営規程では「午前9時から午後5時」となっているのに、実際には午後4時で相談受付を終了している、といった状態にならないよう注意します。

また、時間外の緊急連絡などについては、必要に応じて連絡体制や対応方法を別途整理しておくことも重要です。


運営規程④|指定居宅介護支援の提供方法・内容・利用料等

ここは、第18条の中でも実務上特に重要な項目です。

運営規程には、

指定居宅介護支援の提供方法、内容及び利用料その他の費用の額

を定めます。

提供方法・内容には何を書く?

厚生労働省の解釈通知では、「指定居宅介護支援の提供方法及び内容」について、

  • 利用者の相談を受ける場所
  • 課題分析の手順

などを記載するものとされています。

そのため、事業所の実情に応じて、

  • 相談を受ける場所
  • アセスメントの進め方
  • 課題分析の方法
  • 居宅サービス計画作成までの流れ
  • サービス担当者会議等の進め方
  • モニタリング等の実施方法

などを整理することが考えられます。

ただし、運営規程に記載する内容を必要以上に細かくしすぎると、実際の業務と規程の内容にズレが生じる可能性があります。

実際に事業所で行っている提供方法と運営規程の内容が一致しているかを確認することが大切です。


居宅介護支援の利用料はどうなる?

居宅介護支援は、通常、介護保険から居宅介護支援費が給付されるため、利用者が直接負担する利用料は原則として生じません。

老企第22号でも、償還払いの場合であっても原則として利用者負担が生じない趣旨が示されています。

一方、利用者の選定によって、通常の事業の実施地域以外の地域にある利用者宅を訪問して居宅介護支援を行う場合の交通費については、利用者から受け取ることができます。

この場合、

  • 交通費の額
  • その費用が発生する条件
  • 交通費の算定方法

などを整理しておく必要があります。

また、交通費を受け取る場合には、あらかじめ利用者または家族に対して、サービスの内容や費用について説明し、利用者の同意を得る必要があります。

注意|あいまいな名目で費用を徴収しない

老企第22号では、保険給付の対象となっているサービスと明確に区分されない、あいまいな名目による費用の徴収は認められないとされています。

したがって、

「説明書類を作成したから別途料金をもらう」

など、根拠が明確でない費用を安易に利用者から徴収することは避ける必要があります。

居宅介護支援の費用については、「何の費用なのか」「どの規定に基づくものなのか」を明確にすることが重要です。


運営規程⑤|通常の事業の実施地域

「通常どの地域を対象にするのか」を明確にする

運営規程には、

通常の事業の実施地域

を定めます。

厚生労働省の解釈通知では、この地域について、

客観的にその区域が特定されるもの

とされています。

例えば、

  • ○○市全域
  • ○○市の○○地区
  • ○○市、△△町

など、区域が具体的に分かるようにします。

「近隣地域」など、範囲が分かりにくい表現だけで済ませるのではなく、客観的に区域を特定できるようにすることが重要です。


通常の事業の実施地域を超えて支援してはいけない?

ここは誤解されやすいところです。

「通常の事業の実施地域」は、その地域以外では絶対に居宅介護支援を行ってはいけないという意味ではありません。

老企第22号では、

通常の事業の実施地域は、利用申込みに係る調整等の観点からの目安

とされており、その地域を越えて指定居宅介護支援を行うことを妨げるものではないとされています。

つまり、

通常の事業の実施地域=事業所が通常対応する範囲の目安

と考えると分かりやすいでしょう。

実施地域外の利用者については、交通費の取扱いなども含めて、事業所の運営規程を確認することが重要です。


運営規程⑥|虐待の防止のための措置

運営規程に虐待防止について定める

第18条では、

虐待の防止のための措置に関する事項

を運営規程に定めることとされています。

これは、居宅介護支援事業所として虐待の発生や再発を防止するための体制を整えることにつながります。

ただし、ここは第18条と第27条の2を分けて考えることが重要です。


虐待防止については第27条の2も確認

第27条の2では、虐待の発生または再発を防止するため、指定居宅介護支援事業者に次の措置を求めています。

  • 虐待防止のための対策を検討する委員会を定期的に開催する
  • 委員会の結果を介護支援専門員に周知する
  • 虐待防止のための指針を整備する
  • 介護支援専門員に対して虐待防止の研修を定期的に実施する
  • これらを適切に実施するための担当者を置く

つまり、

第18条=運営規程に「虐待の防止のための措置に関する事項」を定める

第27条の2=虐待防止のために具体的な措置を実施する

という関係です。

この2つをセットで理解しておくことが大切です。


虐待が疑われる場合の対応も確認しておく

厚生労働省の解釈通知では、虐待等の早期発見や、発生した場合の迅速かつ適切な対応についても示されています。

指定居宅介護支援事業所の従業者は、虐待等やセルフ・ネグレクト等の虐待に準ずる事案を発見しやすい立場にあることから、相談体制や市町村の通報窓口の周知など、早期発見につながる措置が望ましいとされています。

また、虐待が発生した場合には、速やかに市町村の窓口に通報される必要があり、事業者は市町村等が行う調査等に協力することが求められています。

そのため、実務では、

  • 虐待に関する相談先
  • 市町村への通報・相談方法
  • 事業所内での報告ルート
  • 利用者の安全確保
  • 虐待防止委員会への報告
  • 再発防止の検討

などを、運営規程だけでなく、虐待防止指針やマニュアル等も含めて整理しておくとよいでしょう。


運営規程⑦|その他運営に関する重要事項

第18条の最後には、

その他運営に関する重要事項

があります。

ここは、事業所の運営上必要となる重要な事項を定める部分です。

例えば、事業所の実情に応じて、

  • 苦情への対応
  • 事故発生時の対応
  • 個人情報の取扱い
  • 緊急時の連絡体制
  • 非常災害時の対応
  • その他、事業所として必要な事項

などを整理することが考えられます。

ただし、ここで注意したいのは、

これらすべてが第18条によって一律に必ず記載するよう指定されている

という意味ではないことです。

それぞれについて別の運営基準や関係法令に規定がある場合もあります。

例えば、事故については第27条で、事故発生時の市町村・家族等への連絡、必要な措置、記録、損害賠償などが規定されています。

したがって、運営規程を作成・見直しするときは、

「第18条の7項目」+「その他の各基準で求められている体制・手順」

を整理して確認することが重要です。


運営規程と重要事項説明書は同じもの?

ここもケアマネが知っておきたいポイントです。

運営規程と重要事項説明書は、同じものではありません。

運営規程は、

事業所の運営についての重要事項を定めた規程

です。

一方、重要事項説明書は、利用申込者がサービスを選択するために必要な重要事項を説明するための文書です。

老企第22号では、利用申込みがあった場合、運営規程の概要、介護支援専門員の勤務体制、秘密保持、事故発生時の対応、苦情処理の体制など、利用申込者がサービスを選択するために必要な重要事項について、文書を交付して説明することとされています。

そのため、

運営規程と重要事項説明書の内容に食い違いがないか

を確認することが重要です。

例えば、

  • 営業日
  • 営業時間
  • 実施地域
  • 職員体制
  • 利用料
  • 交通費
  • 苦情対応の窓口

などに変更があった場合には、関係する文書の内容も確認する必要があります。


ケアマネが運営規程を確認するときのポイント

ケアマネジャーとしては、運営規程を単なる「事業所に置いてある書類」と考えるのではなく、自分の業務と関係する基本ルールとして確認しておくとよいでしょう。

特に次の項目は確認しておきたいポイントです。

① 営業日・営業時間

自分が勤務している実際の体制と一致しているか。

② 職員体制

現在の職員配置が運営規程の内容と合っているか。

③ 提供方法・内容

実際の居宅介護支援の進め方と運営規程の記載が大きく異なっていないか。

④ 通常の事業の実施地域

新規相談を受けた際に、事業所の通常の対応地域を確認できるか。

⑤ 交通費

通常の事業の実施地域外で支援する場合、交通費の取扱いがどうなっているか。

⑥ 虐待防止

虐待防止委員会、指針、研修、担当者などの体制を確認しておく。

⑦ その他の重要事項

苦情、事故、緊急時などについて、事業所のルールを確認しておく。


運営規程は「作って終わり」ではない

運営規程は、一度作成したらそのまま保管しておけばよいというものではありません。

例えば、

  • 職員が入れ替わった
  • 営業日が変わった
  • 営業時間が変わった
  • 実施地域が変わった
  • 交通費の設定が変わった
  • 居宅介護支援の提供方法が変わった
  • 虐待防止体制を変更した

といった場合には、運営規程の内容と実際の事業所の運営が一致しているか確認する必要があります。

「実際の運営」と「運営規程」のズレを放置しないことが重要です。


ケアマネが覚えておきたい「第18条」のポイント

運営基準第18条は、次の7つで覚えると分かりやすいでしょう。

① 目的・方針

どんな考え方で事業を行うのか。

② 職員

誰が何人いて、どんな仕事をするのか。

③ 営業日・営業時間

いつ事業所が営業しているのか。

④ 提供方法・内容・費用

どのように居宅介護支援を提供し、費用をどう扱うのか。

⑤ 実施地域

通常どの地域を対象にするのか。

⑥ 虐待防止

虐待防止のためにどのような措置を講じるのか。

⑦ その他重要事項

事業所の運営に必要な重要事項をどう定めるのか。


まとめ|運営基準第18条は「事業所の基本ルール」を定める規定

居宅介護支援の運営基準第18条では、事業所ごとに運営規程を定めることを求めています。

運営規程に定めるのは、

  • 事業の目的及び運営の方針
  • 職員の職種、員数及び職務内容
  • 営業日及び営業時間
  • 指定居宅介護支援の提供方法、内容及び利用料その他の費用の額
  • 通常の事業の実施地域
  • 虐待の防止のための措置に関する事項
  • その他運営に関する重要事項

の7項目です。

運営規程は、単なる行政上の書類ではありません。

「この事業所は、どのような方針で、どのような体制で、どの地域に、どのような方法で居宅介護支援を提供するのか」

を明確にするための基本的なルールです。

また、虐待防止については第18条だけでなく、第27条の2に定められた委員会、指針、研修、担当者などの具体的な措置も確認する必要があります。

ケアマネジャーとしては、運営規程を「事業所に置いてある書類」として終わらせず、

「自分たちの事業所が、どのようなルールで動いているのかを確認するための基本資料」

として活用するとよいでしょう。

そして、運営規程の内容と実際の事業所の運営が一致しているかを定期的に確認することも重要です。


参考条文

  • 厚生労働省「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」第10条、第18条、第19条、第27条、第27条の2
  • 厚生労働省「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準について」(老企第22号)
  • 厚生労働省「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準について(抄)」

※本記事は、厚生労働省が公表している基準省令及び解釈通知をもとに、ケアマネジャー向けに分かりやすく整理したものです。実際の運営規程の作成・変更に当たっては、指定権者の条例・運用等もあわせて確認してください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました