結論|3つの制度は「誰の情報を、いつの時点で見るか」がポイント
介護保険の利用者負担については、
- 利用者負担割合=介護サービス費の「1割・2割・3割」を決める仕組み
- 高額介護サービス費=1か月に支払った介護サービスの自己負担が高くなりすぎないよう、上限を設ける仕組み
- 特定入所者介護サービス費=介護保険施設などの「食費・居住費」の負担を軽くする仕組み
という違いがあります。
そして、ケアマネジャーが特に理解しておきたいのは、これらを最終的に判定するのは保険者である市町村等だということです。
保険者は、税情報、住民票上の世帯情報、年金情報、預貯金等の情報などを使い、制度ごとに決められた方法で判定します。
特に重要なのが次のポイントです。
- 利用者負担割合は、原則として毎年8月1日を基準に判定
- 高額介護サービス費の負担上限額も、原則として毎年8月1日に定期判定
- 世帯の構成が変われば、年度途中でも再判定されることがある
- 転入・転出・転居・死亡・65歳到達などが判定に影響する
- 所得が後から修正されれば、過去にさかのぼって再判定されることがある
- 間違った負担割合や負担上限額で処理されていた場合は、過誤調整が必要になる
- 特定入所者介護サービス費は、世帯の課税状況だけでなく、本人・配偶者の預貯金等も重要
- ケアマネジャーは「自分で最終判定する」のではなく、制度の仕組みを理解して、利用者に説明し、必要な確認を保険者につなぐことが重要
厚生労働省も、介護サービスの利用者負担について、原則1割、一定以上所得者は2割または3割とし、低所得者や自己負担が高額になった場合には負担軽減制度があることを案内しています。
この介護保険最新情報Vol.1532で分かること
この記事では、介護保険最新情報Vol.1532に示された考え方をもとに、次の3つを整理します。
- 介護保険の利用者負担割合
- 高額介護(予防)サービス費
- 特定入所者介護(予防)サービス費
さらに、
- 保険者は何を確認しているのか
- 8月1日に何が変わるのか
- 世帯変更があった場合はどうなるのか
- 65歳になった場合はどうなるのか
- 所得が後から変わったらどうなるのか
- 過去の利用分はどう調整するのか
- ケアマネジャーは何を確認すればよいのか
についても解説します。
介護保険の利用者負担割合とは?
介護保険サービスを利用すると、利用者はサービス費用の一部を自己負担します。
原則は1割ですが、所得などの条件によって2割または3割になる場合があります。
厚生労働省の介護サービス情報公表システムでも、介護サービスの利用者負担は原則1割、一定以上所得者は2割または3割とされています。
ここで重要なのは、
「年収だけを見て負担割合を決めているわけではない」
ということです。
本人の合計所得金額だけでなく、同じ世帯にいる第1号被保険者の年金収入や所得なども確認して判定します。
利用者負担割合は「本人だけ」で決めるわけではない
利用者負担割合は、基本的には第1号被保険者である本人について判定します。
しかし、2割・3割の判定では、
本人を含めた同一世帯の第1号被保険者の所得状況
も関係します。
そのため、
「本人の年金が少ないから1割」
と単純に判断することはできません。
同じ世帯にいる65歳以上の人の所得状況によって、負担割合が変わる場合があります。
利用者負担割合は毎年8月1日に定期判定される
利用者負担割合は、毎年同じものが永久に続くわけではありません。
市町村民税などの情報が年度ごとに更新されるため、保険者は原則として毎年8月1日を基準日として負担割合を判定します。
この判定は、利用者から毎回申請してもらうのではなく、保険者が持っている税情報などを使って職権で行います。
つまり、
「利用者が申請しないと8月の負担割合が決まらない」という仕組みではありません。
保険者が税情報などを確認して判定し、負担割合証を交付します。
利用者負担割合の判定で保険者が確認する情報
保険者は、主に次のような情報を確認します。
- 本人の合計所得金額
- 同一世帯の第1号被保険者の状況
- 公的年金等の収入金額
- その他の合計所得金額
- 市町村民税の課税・非課税状況
- 生活保護の受給状況
- 世帯構成
つまり、負担割合の判定は、
税情報+世帯情報+制度上必要な情報
を組み合わせて行っていると考えると分かりやすいでしょう。
利用者負担割合は「所得」だけでなく世帯状況も重要
利用者負担割合の判定では、本人の所得だけでなく、同一世帯の第1号被保険者の所得状況も確認します。
そのため、次のような出来事があった場合には注意が必要です。
- 配偶者が65歳になった
- 65歳の家族が転入してきた
- 65歳の家族が転出した
- 世帯分離・世帯変更があった
- 家族が死亡した
- 他市町村へ転居した
- 他市町村から転入した
こうした出来事によって、世帯に含まれる第1号被保険者が変わると、負担割合が変わる可能性があります。
利用者負担割合の判定で「8月1日」と「世帯変更」を分けて考える
ケアマネジャーが理解しておきたいのは、
定期判定と随時判定は別物
ということです。
定期判定
毎年8月1日に行われます。
随時判定
年度途中に世帯構成などが変わった場合に、必要に応じて再判定されます。
つまり、
「8月に負担割合証を確認したから、1年間ずっと同じ」
とは限りません。
65歳になったときは利用者負担割合が変わることがある
第2号被保険者は一律1割負担ですが、65歳になって第1号被保険者になると、所得等に応じて2割・3割になる場合があります。
そのため、65歳到達は負担割合を確認する重要なタイミングです。
特に、
「今まで1割だったから、65歳になっても1割」
とは限りません。
保険者は65歳到達後の所得状況等を確認し、新しい負担割合を判定します。
利用者負担割合が変わったら「負担割合証」が再交付される
判定の結果、負担割合が変更になった場合には、保険者から新しい負担割合証が交付されます。
ケアマネジャーとしては、
- 負担割合が変わっていないか
- 負担割合証の有効期間
- サービス事業所へ必要な情報が伝わっているか
などを確認することが大切です。
世帯変更があったときは利用者負担割合を再判定する
利用者負担割合は、本人だけでなく同一世帯の第1号被保険者の状況が関係します。
そのため、
世帯の構成が変わる=負担割合が変わる可能性がある
ということです。
たとえば、所得の高い65歳以上の家族が世帯に入った場合、負担割合が変わる可能性があります。
反対に、所得の高い第1号被保険者が転出・死亡などによって世帯からいなくなることで、負担割合が変わる場合もあります。
利用者負担割合は過去にさかのぼって調整されることもある
ここはケアマネジャーとして非常に重要です。
後から、
- 世帯変更の届出が遅れていた
- 所得の修正申告があった
- 税情報が変更された
などの事情が分かった場合、過去の負担割合を見直すことがあります。
これを過誤調整といいます。
たとえば、
本来2割だった期間に1割で利用していた
ということが分かれば、差額の調整が必要になります。
逆に、
本来1割だったのに2割を支払っていた
という場合には、差額を利用者へ返すことになります。
高額介護サービス費とは?
次に、高額介護サービス費です。
高額介護サービス費は、介護サービスを利用したときの自己負担額が1か月の上限額を超えた場合に、その超えた分を支給する制度です。
簡単にいうと、
「介護サービスをたくさん使って自己負担が高くなりすぎた場合に、一定額を超えた部分を軽くする制度」
です。
ただし、すべての費用が対象になるわけではありません。
高額介護サービス費は、介護保険のサービス利用にかかる自己負担についての制度であり、施設の食費・居住費などは別の制度で考える必要があります。
高額介護サービス費の負担上限額は毎年8月1日に判定する
高額介護サービス費についても、所得情報が毎年度更新されるため、原則として毎年8月1日に定期判定を行います。
保険者は、
- 世帯の課税状況
- 世帯員の所得
- 第1号被保険者の課税所得
- 生活保護の状況
- 世帯構成
などを確認して、負担上限額を決定します。
高額介護サービス費は「世帯」で見ることが重要
利用者負担割合と似ているようで、ここは注意が必要です。
高額介護サービス費の負担上限額は、世帯の状況を基準に判断する仕組みになっています。
そのため、世帯の中にいる人の課税状況や第1号被保険者の課税所得などによって、上限額が変わることがあります。
高額介護サービス費の主な負担上限額
介護保険最新情報Vol.1532の資料では、課税状況や課税所得などに応じて、次のような区分で判定する考え方が示されています。
市町村民税非課税世帯など
一定の条件に該当する場合、
- 個人15,000円
- 世帯15,000円
- 世帯24,600円
などの区分があります。
市町村民税課税世帯
第1号被保険者の課税所得に応じて、
- 44,400円
- 93,000円
- 140,100円
という区分で負担上限額を判定します。
ここで大切なのは、
「本人のサービス利用額だけで上限額が決まるわけではない」
ということです。
世帯の課税状況や第1号被保険者の課税所得などを保険者が確認して判定します。
高額介護サービス費も世帯変更で負担上限額が変わる
高額介護サービス費では、世帯構成の変更が重要です。
たとえば、
- 高所得の65歳以上の人が転入
- 高所得の65歳以上の人が転出
- 65歳の人が新たに第1号被保険者になる
- 第1号被保険者が死亡
- 他世帯への転居
- 他世帯からの転居
などがあると、負担上限額が変わる可能性があります。
そのため、保険者は世帯変更の情報を把握し、必要に応じて再判定します。
高額介護サービス費は「その月の初日」の世帯状況がポイント
高額介護サービス費では、サービスを利用した月ごとに、その月の初日の世帯状況・所得状況を基本として判定します。
ここが利用者負担割合との大きな違いを理解するポイントです。
世帯構成が変更された場合、
原則として変更があった月の翌月のサービス分から新しい負担上限額を適用
します。
ただし、変更日が月の初日の場合は、その月から新しい区分が適用されます。
高額介護サービス費も後から過誤調整されることがある
高額介護サービス費についても、
- 世帯変更の届出が遅れた
- 転入・転出の把握が遅れた
- 所得が後から修正された
などの場合には、過去の支給額を見直すことがあります。
たとえば、本来93,000円の上限だったのに44,400円で計算されていた場合、後から正しい上限額に直して差額を調整することになります。
反対に、本来44,400円だったのに93,000円で計算されていた場合には、利用者に追加で支給することになります。
高額介護サービス費の申請負担は軽減できる
高額介護サービス費については、対象者が毎月申請しなければならない負担を減らすため、
- 初回申請のみで済むようにする
- 利用者負担額の申告を毎回求めない
- 領収書の添付を毎回求めない
- 指定された口座へ継続して振り込む
などの取り扱いが示されています。
ケアマネジャーとしては、
「高額介護サービス費の対象になりそうなのに、利用者が制度を知らない」
という状況を避けることが大切です。
特定入所者介護サービス費とは?
特定入所者介護サービス費は、主に介護保険施設などを利用する低所得者の、
- 食費
- 居住費
の負担を軽くするための制度です。
一般的には「補足給付」と呼ばれることもあります。
介護施設を利用すると、介護サービスの自己負担だけではなく、
- 食費
- 居住費
- 日常生活費
なども必要になります。
厚生労働省も、施設利用では介護サービス費の自己負担に加えて居住費や食費などの負担があることを案内しています。
特定入所者介護サービス費は「課税状況+預貯金等」で判断する
特定入所者介護サービス費で特に重要なのは、
市町村民税が非課税かどうかだけでは決まらない
という点です。
保険者は、
- 世帯の課税状況
- 配偶者の課税状況
- 本人の年金収入等
- 本人・配偶者の預貯金等
などを確認します。
そのため、
「非課税だから必ず負担限度額認定になる」
とは限りません。
特定入所者介護サービス費では「配偶者」も確認する
特定入所者介護サービス費では、本人だけでなく配偶者の状況も重要です。
配偶者については、
- 法律上の配偶者
- 事実上の婚姻関係にある人
も対象になります。
ただし、
- 離婚が成立している
- 婚姻取消しが成立している
- 配偶者が行方不明
- 配偶者からDVを受けている
- 経済的虐待などがある
といった事情がある場合には、配偶者の課税状況を勘案しない取り扱いがあります。
このようなケースでは、単純に「配偶者がいるから配偶者の所得も確認する」とするのではなく、保険者へ相談することが重要です。
特定入所者介護サービス費は預貯金等も確認する
特定入所者介護サービス費では、本人・配偶者の預貯金等の合計額も支給要件になります。
対象となるものには、
- 普通預金
- 定期預金
- 株式
- 国債
- 地方債
- 社債
- 投資信託
- 金・銀などの貴金属
- タンス預金などの現金
があります。
一方、
- 生命保険
- 自動車
- 腕時計
- 宝石
- 絵画
- 骨董品
- 家財
などは、制度上の預貯金等の対象から外れるものがあります。
特定入所者介護サービス費では負債を差し引くことができる
運用上、借入金や住宅ローンなどの負債がある場合には、預貯金等の合計額から負債額を控除します。
したがって、預貯金の残高だけを見て判断するのではなく、
預貯金等-対象となる負債
という考え方をすることになります。
特定入所者介護サービス費では非課税年金も確認する
特定入所者介護サービス費の利用者負担段階を判定するときには、非課税年金も考慮されます。
ここはケアマネジャーにとって分かりにくい部分です。
市町村には年金保険者から非課税年金の情報が通知されます。
保険者は、その情報を利用して、
課税年金収入+非課税年金収入+その他の合計所得金額
などを確認し、負担段階を判定します。
したがって、
「非課税年金だから収入として考えなくてよい」
ということではありません。
特定入所者介護サービス費の申請は本人・家族から行う
利用者負担割合の定期判定などとは違い、特定入所者介護サービス費は、申請が重要になります。
特に預貯金等については、保険者がすべての資産状況を事前に把握できるわけではありません。
そのため、
利用者本人等からの申請・申告が前提
になります。
ケアマネジャーとしては、施設入所などの際に、
「負担限度額認定という制度があります」
と情報提供することが重要です。
市町村民税課税世帯でも特例減額措置がある
特定入所者介護サービス費には、市町村民税課税世帯でも一定の条件を満たす場合に、負担を軽くする特例減額措置があります。
ここでは、
- 世帯の課税状況
- 本人の収入
- 世帯の収入
- 居住用資産
- その他の資産
など、複数の条件を確認する必要があります。
この制度も申請が前提となるため、
「課税世帯だから関係ない」と決めつけない
ことが大切です。
3つの制度を比較すると分かりやすい
ここまでの内容を簡単に整理すると、次のようになります。
| 制度 | 何を軽くする制度? | 主な判定材料 | 重要なタイミング |
|---|---|---|---|
| 利用者負担割合 | 介護サービス費の自己負担割合 | 本人の所得・世帯の第1号被保険者の所得等 | 原則8月1日 |
| 高額介護サービス費 | 1か月の介護サービス自己負担 | 世帯の課税状況・第1号被保険者の課税所得等 | 原則8月1日・世帯変更時 |
| 特定入所者介護サービス費 | 食費・居住費 | 課税状況・配偶者・年金・預貯金等 | 申請時・更新時等 |
この3つを混同しないことが重要です。
ケアマネジャーが特に注意したい「世帯変更」
3つの制度を理解するうえで、共通して注意したいのが世帯変更です。
たとえば、
- 転入
- 転出
- 転居
- 世帯変更
- 世帯分離
- 死亡
- 65歳到達
などがあった場合には、制度によっては負担割合や負担上限額などが変わる可能性があります。
そのため、ケアマネジャーが利用者の生活状況を把握する中で、
「家族が同居することになった」
「子どもの世帯に入った」
「夫が施設に入った」
「妻が亡くなった」
「65歳になった家族がいる」
などの情報を把握した場合は、保険者への確認が必要になることがあります。
「世帯分離したから必ず負担が下がる」とは限らない
ここも注意が必要です。
世帯を分けたからといって、必ず負担が軽くなるとは限りません。
制度ごとに、
- 誰を世帯員として見るのか
- 配偶者をどう扱うのか
- 第1号被保険者をどう扱うのか
- いつの世帯状況を見るのか
が異なります。
そのため、
「世帯分離=介護保険の負担が安くなる」
と単純に考えるのは危険です。
保険者は転入者の所得をどう確認する?
転入してきた人については、転入先の市町村だけでは前年所得を確認できない場合があります。
そのため、保険者は必要に応じて、
転出元の市町村へ所得を照会
します。
つまり、利用者が「前の市町村では1割だった」と言っても、それだけで転入後の負担割合を決めるわけではありません。
転入先の世帯構成と所得状況を確認して、転入先の保険者が改めて判定します。
住所地特例の場合はどうする?
住所地特例対象者については、住所地特例の仕組みにより保険者と施設所在地などの関係が通常の転入とは異なります。
この場合も、所得情報などを必要に応じて関係する市町村へ照会して判定します。
ケアマネジャーとしては、
「住民票の住所だけを見れば保険者が分かる」とは限らない
ことを覚えておくとよいでしょう。
市町村民税が非課税なら利用者負担割合はどうなる?
利用者負担割合については、市町村民税非課税者などは1割負担となります。
ただし、これは「非課税ならすべての介護保険制度が自動的に同じ扱いになる」という意味ではありません。
高額介護サービス費や特定入所者介護サービス費では、それぞれ別の判定基準があります。
そのため、
利用者負担割合が1割=高額介護サービス費や食費・居住費の負担も自動的に決まる
わけではありません。
生活保護になった場合はどうなる?
生活保護の開始・廃止も介護保険の負担に影響します。
利用者負担割合では、生活保護の被保護者は1割負担となります。
また、高額介護サービス費についても、生活保護の開始・廃止に伴って負担上限額の判定が変わる場合があります。
特定入所者介護サービス費についても、生活保護受給者には預貯金等の要件がないなど、通常とは異なる取り扱いがあります。
所得が後から変わった場合はどうなる?
税の修正申告などによって所得が後から変更されることがあります。
この場合、
「今月から変更」だけでは終わらない場合があります。
所得は年度単位で判定に使われるため、過去の期間についても負担割合や負担上限額を見直すことがあります。
これが過誤調整です。
過誤調整とは?
過誤調整とは、
過去に間違った負担割合や負担上限額で処理されていた場合に、正しい金額に計算し直して差額を調整すること
です。
たとえば、
本来2割負担なのに1割で利用していた
場合には、不足していた自己負担分を調整することになります。
反対に、
本来1割なのに2割払っていた
場合には、利用者へ差額を返すことになります。
高額介護サービス費でも同じように、支給済みの金額を正しい上限額で計算し直します。
過誤調整は事業所のミスとは限らない
ここはケアマネジャーや介護サービス事業所にとって重要です。
世帯変更の届出が遅れていた場合や、後から所得更正があった場合などは、事業所が間違ったわけではありません。
そのため、基本的には保険者と被保険者の間で差額を調整する考え方が示されています。
事業所がレセプトを再請求して調整することができる場合もありますが、原則としては保険者と被保険者の間で処理する考え方になります。
ケアマネジャーが保険者に確認するときのポイント
利用者や家族から、
「負担割合がおかしい」
「去年と違う」
「高額介護サービス費が戻ってこない」
「施設の食費が高い」
「世帯分離したら安くなるのか」
などの相談があった場合、ケアマネジャーがその場で最終判断する必要はありません。
まず、
① どの制度の話なのか
- 利用者負担割合
- 高額介護サービス費
- 特定入所者介護サービス費
を整理します。
② いつの利用分なのか
- 現在
- 8月以降
- 世帯変更前
- 世帯変更後
- 過去の利用分
を確認します。
③ 世帯に変化がなかったか
- 転入
- 転出
- 転居
- 世帯変更
- 死亡
- 65歳到達
などを確認します。
④ 所得に変更がなかったか
- 修正申告
- 税情報の変更
- 年金情報の変更
などを確認します。
⑤ 保険者に確認する
最終的な判定は保険者が行います。
したがって、判断に迷う場合には保険者へ確認することが重要です。
ケアマネジャーが利用者に説明するときの言い方
制度は複雑ですが、利用者には次のように説明すると伝わりやすくなります。
利用者負担割合
「介護サービスを利用したときに、1割・2割・3割のどれを負担するかを、市町村が所得などを確認して決めています。基本的には毎年8月に見直されます。」
高額介護サービス費
「介護サービスをたくさん使って自己負担が高くなった場合に、1か月の負担に上限を設ける制度です。所得や世帯の状況によって上限額が違います。」
特定入所者介護サービス費
「施設などの食費や居住費について、所得が低い方などの負担を軽くする制度です。市町村民税だけでなく、預貯金なども確認されます。」
ケアマネジャー向け|3制度の確認チェックリスト
利用者の負担について相談を受けたら、次の順番で確認すると整理しやすくなります。
利用者負担割合チェック
- 負担割合証を確認したか
- 1割・2割・3割のどれか
- 負担割合証の有効期間を確認したか
- 最近、世帯変更がなかったか
- 65歳になった家族はいないか
- 転入・転出・転居がなかったか
- 所得更正がなかったか
- 不明な場合は保険者へ確認したか
高額介護サービス費チェック
- 高額介護サービス費の対象になりそうか
- 負担上限額はいくらか
- 世帯の課税状況を確認したか
- 世帯構成に変更がないか
- 65歳到達者がいないか
- 転入・転出・転居がないか
- 生活保護の開始・廃止がないか
- 高額介護サービス費の申請状況を確認したか
特定入所者介護サービス費チェック
- 施設入所等の対象サービスか
- 負担限度額認定を受けているか
- 世帯の課税状況を確認したか
- 配偶者の状況を確認したか
- 年金収入等を確認したか
- 非課税年金があるか
- 預貯金等の要件を確認したか
- 必要な申請をしているか
- 認定証等の有効期間を確認したか
3つの制度で共通する「保険者の仕事」を理解する
今回の介護保険最新情報Vol.1532の内容をまとめると、保険者の仕事は単純に「申請を受け付ける」だけではありません。
保険者は、
- 税情報を確認する
- 住民票上の世帯状況を確認する
- 必要に応じて他市町村へ所得照会する
- 年金情報などを確認する
- 制度ごとの基準に当てはめる
- 負担割合や負担上限額などを決定する
- 必要な証明書等を交付する
- 世帯変更があれば再判定する
- 所得更正があれば再判定する
- 過去に誤りがあれば過誤調整する
という流れで事務を行います。
つまり、
「一度判定したら終わり」ではない
ということです。
ケアマネジャーが知っておきたい重要ポイント
今回の資料で特に覚えておきたいのは、次の5つです。
① 8月1日は重要な基準日
利用者負担割合と高額介護サービス費は、原則として毎年8月1日に定期判定されます。
そのため、8月は負担割合証や負担上限額などの確認が重要になります。
② 世帯が変わったら再判定の可能性がある
転入・転出・転居・死亡・65歳到達などによって、負担割合や負担上限額が変わることがあります。
③ 本人だけを見ればよいとは限らない
制度によって、
- 同一世帯の第1号被保険者
- 世帯主
- 世帯員
- 配偶者
などの情報が判定に関係します。
④ 特定入所者介護サービス費は預貯金等が重要
「非課税だから対象」とは限りません。
本人・配偶者の預貯金等も確認されます。
⑤ 後から差額調整が発生することがある
世帯変更の把握が遅れたり、所得が後から修正されたりした場合、過去の負担割合や負担上限額まで見直されることがあります。
まとめ|ケアマネジャーは「判定する人」ではなく「仕組みを理解してつなぐ人」
介護保険の利用者負担割合、高額介護サービス費、特定入所者介護サービス費は、どれも利用者の経済的な負担に直接関係する重要な制度です。
一方で、判定基準はそれぞれ違います。
利用者負担割合
→ 介護サービス費を「1割・2割・3割」のどれで負担するか。
高額介護サービス費
→ 1か月の介護サービス自己負担が高くなりすぎないよう、上限を設ける。
特定入所者介護サービス費
→ 介護施設などの食費・居住費の負担を軽くする。
そして、これらを正しく運用するために保険者は、
税情報・世帯情報・年金情報・預貯金等の情報などを確認し、制度ごとの基準に沿って判定します。
ケアマネジャーにとって大切なのは、細かな数字をすべて暗記することではありません。
それよりも、
「この利用者の負担に影響するような世帯変更や所得変更が起きていないか?」
という視点を持つことです。
家族構成が変わった、65歳になった、転居した、家族が亡くなった、所得が修正された――。
こうした変化があったときには、負担割合や負担上限額が変わる可能性があります。
そのときは自己判断で決めず、保険者へ確認する。
これが、ケアマネジャーとして安全な対応につながります。
参考資料・引用元
本記事は、厚生労働省が発出する「介護保険最新情報」をもとに、利用者負担割合、高額介護(予防)サービス費、特定入所者介護(予防)サービス費について、ケアマネジャーの実務で理解しやすいよう整理したものです。
また、介護サービスの利用者負担については、厚生労働省「介護サービス情報公表システム」の「サービスにかかる利用料」も参考になります。
※本記事は制度の理解を目的として整理したものです。実際の負担割合、負担上限額、支給要件、適用開始日などについては、個別の事情によって異なる場合があります。具体的な判定については、必ず当該被保険者の保険者(市町村・広域連合等)に確認してください。
※制度改正や通知・事務連絡等により内容が変更される場合があります。記事公開後も最新情報の確認をおすすめします。

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