結論|第20条で確認したいのは「区画」と「必要な設備・備品」
居宅介護支援事業所には、指定居宅介護支援を行うために必要な広さの区画と、必要な設備・備品等を確保することが求められています。
ただし、必ず独立した専用事務室を設けなければならないわけではありません。
厚生労働省の解釈通知では、専用の事務室が望ましいとしながらも、他の事業と明確に区分されていれば、同じ事務室を使用することも認めています。
この記事では、基準第20条について、次のポイントを整理します。
- 専用の事務室は必要なのか
- 他事業所と同じ事務室を使えるのか
- 「区画が明確」とはどういうことか
- 相談やサービス担当者会議のスペースはどう考えるか
- 他事業所・施設の設備や備品を共有できるのか
- 運営指導前に何を確認しておけばよいのか
居宅介護支援事業所の設備・事務室は第20条で定められている
居宅介護支援事業所の設備や備品については、「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」の**第20条(設備及び備品等)**で定められています。
第20条では、指定居宅介護支援事業者に対して、
事業を行うために必要な広さの区画を有するとともに、指定居宅介護支援の提供に必要な設備及び備品等を備えなければならない。
と定めています。
つまり、第20条で大きく確認するのは、
①必要な広さの区画があるか
②居宅介護支援に必要な設備・備品等が確保されているか
という2点です。
専用の事務室は必要?|「専用」が望ましいが、共有も可能
専用の事務室を設けることが望ましい
厚生労働省の解釈通知では、居宅介護支援事業所について、
事業の運営を行うために必要な面積を有する専用の事務室を設けることが望ましい
とされています。
ここで重要なのは、「望ましい」とされていることです。
そのため、
「居宅介護支援事業所は、必ず独立した専用事務室でなければならない」
という意味ではありません。
他の事業と同じ事務室を使うこともできる
解釈通知では、他の事業に使用する場所と明確に区分されている場合は、他の事業と同じ事務室でも差し支えないとされています。
さらに、同一事業所で他の事業を行っている場合でも、業務に支障がなく、それぞれの事業を行うための区画が明確に特定されていればよいとされています。
例えば、
- 居宅介護支援と訪問介護を同じ建物で運営している
- 一つの事務室の中に、それぞれの事業のスペースを設けている
といったケースです。
重要なのは、単純に「同じ部屋だからダメ」ではなく、
「居宅介護支援を行うための区画が明確になっているか」
「業務に支障がないか」
という点です。
「区画が明確」とは?
「区画が明確」といっても、必ず壁やドアで完全に仕切らなければならないという意味ではありません。
解釈通知では、他の事業と明確に区分されていれば、同一の事務室でも差し支えないとされています。
実際の事業所では、例えば、
- 机の配置によって事業ごとのスペースが分かれている
- 事業ごとの書類・備品の保管場所が整理されている
- 事業所のレイアウトなどで、それぞれの区画を説明できる
といった状態が考えられます。
ただし、具体的にどのような区画方法が認められるかは、事業所の状況や指定権者の運用も確認することが大切です。
相談・サービス担当者会議ができるスペースも必要
専用事務室または事業を行うための区画については、
相談、サービス担当者会議等に対応するのに適切なスペースを確保すること
とされています。
そのため、単にケアマネが仕事をする机を置いておけばよいということではありません。
利用者や家族との相談や、サービス担当者会議などを行えるスペースについても確認しておきましょう。
相談スペースは利用しやすい構造にする
解釈通知では、相談のためのスペース等について、
利用者が直接出入りできるなど、利用しやすい構造
とすることも示されています。
そのため、事業所のレイアウトを考えるときには、
- 利用者が相談スペースまで移動しやすいか
- 相談を行うための場所が確保されているか
- サービス担当者会議を行えるスペースがあるか
といった点を確認しておくとよいでしょう。
設備・備品は何を用意すればいい?
第20条では、指定居宅介護支援の提供に必要な設備及び備品等を備えることが求められています。
第20条自体に「パソコン○台」「机○台」など、具体的な備品の種類や数量が列挙されているわけではありません。
そのため、事業所の業務を行うために必要なものを確保する、という考え方になります。
例えば、
- 机・椅子
- パソコン
- 電話
- プリンターなどの事務機器
- 書類を保管するための収納設備
- 会議に必要な机・椅子など
が考えられます。
ただし、これらは第20条に具体的に列挙された必須備品という意味ではなく、事業所の業務に必要となる設備・備品の例です。
他事業所・施設の設備や備品を共有できる?
できます。
ただし、条件があります。
解釈通知では、他の事業所や施設等と同一敷地内にある場合で、
- 居宅介護支援事業の運営に支障がない
- 他の事業所・施設等の運営にも支障がない
場合には、そこに備え付けられた設備・備品等を使用することができるとされています。
例えば、
- 併設施設の会議室をサービス担当者会議に使用する
- 同一敷地内の設備・備品を共用する
といった運用が考えられます。
ポイントは、**「共有できるかどうか」ではなく、「共有しても双方の運営に支障がないか」**です。
運営指導前に確認しておきたいポイント
第20条について、管理者やケアマネジャーは次の点を確認しておくとよいでしょう。
事務室・区画
- □ 居宅介護支援を行うために必要な広さの区画がある
- □ 他事業と同じ事務室を使用している場合、居宅介護支援の区画が明確になっている
- □ 他事業と同じ事務室を使用することで、業務に支障が生じていない
相談・会議スペース
- □ 利用者・家族との相談に対応できるスペースがある
- □ サービス担当者会議等を行えるスペースがある
- □ 相談スペースが利用者にとって利用しやすい構造になっている
設備・備品
- □ 居宅介護支援の提供に必要な設備・備品等を確保している
- □ 他事業所・施設の設備や備品を共有している場合、業務に支障がない
- □ 共有している設備について、必要なときに利用できる状態になっている
基準第20条で特に覚えておきたいこと
第20条については、次の3つを押さえておけば十分です。
① 専用事務室は「望ましい」
専用事務室が望ましいとされていますが、必ず専用事務室でなければならないわけではありません。
他事業と同じ事務室でも、明確に区分され、業務に支障がなければ認められています。
② 相談・会議のスペースを確保する
事務室や区画だけでなく、相談やサービス担当者会議等に対応できる適切なスペースを確保することが必要です。
③ 設備・備品は共有できる場合がある
同一敷地内の他事業所・施設の設備や備品は、双方の運営に支障がない場合には共有できます。
まとめ|第20条は「専用事務室があるか」だけを見る条文ではない
居宅介護支援の基準第20条では、
「専用の部屋があるか」だけが問題になるわけではありません。
重要なのは、
- 事業を行うために必要な広さの区画があるか
- 他事業と一緒の場合、区画が明確になっているか
- 業務に支障がないか
- 相談やサービス担当者会議に対応できるスペースがあるか
- 必要な設備・備品等が確保されているか
- 他事業所・施設の設備を共有する場合、運営に支障がないか
という点です。
特に、「他事業と同じ事務室だから基準違反」というわけではありません。
厚生労働省の解釈通知でも、一定の条件を満たせば同じ事務室を使用できることが明確に示されています。
事業所の設備やレイアウトを確認するときは、「専用かどうか」だけで判断せず、「区画が明確か」「業務に支障がないか」という視点で確認することが大切です。
参考
- 厚生労働省「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」第20条(設備及び備品等)
- 厚生労働省「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準について」(老企第22号)「(十三)設備及び備品等」
※この記事は厚生労働省の通知をわかりやすく整理したものです。 実際の判断や運用を行うときは、必ず厚生労働省が公表している正式な文章(通知・PDF)を確認してください。


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