結論
今回の通知は
① 協力医療機関連携加算の要件変更 と
② やむを得ない事情による人員欠如の特例(減算猶予) を
既存の留意事項に反映したものです。
- 背景には、医療側(診療報酬)の「施設等連携加算」の見直し があり、
医療と介護のルールをそろえる(整合を取る)ことが目的です。 - ケアマネジャーにとって重要なのは、
「普段からの医療連携を評価する加算」 と
「人員不足が起きたときの1年に1回の救済措置」 を正しく理解しておくことです。
要点(ざっくり整理)
- 協力医療機関連携加算
- 介護施設が、協力医療機関と継続的に連携していることを評価する介護報酬の加算
- 会議の開催頻度や情報共有の方法が、今回あらためて明確化された
- 施設等連携加算(医療側)
- 病院・診療所が、介護施設の入居者と普段から連携している体制を評価する診療報酬
- 入院や外来受診のときに算定できるが、前提として「日頃の連携」が必要
- やむを得ない事情による人員欠如の特例
- 突然の退職や長期不在などで人員が1割以内欠けた場合、
一定の条件を満たせば「減算を一時的に猶予」できる仕組み - 年1回まで、発生月の翌々月まで有効
- 突然の退職や長期不在などで人員が1割以内欠けた場合、
協力医療機関連携加算と施設等連携加算のポイント
協力医療機関連携加算とは(介護側)
協力医療機関連携加算 は、
特定施設・老健・特養・グループホームなどの介護施設が、
- 協力医療機関と契約を結び
- 入居者の健康状態や急変時対応について
- 普段から情報共有や会議を行っている
この体制を評価する 介護報酬の加算 です。
今回の通知では、この加算の「連携の中身」をより具体的に示すために、
- 会議の開催頻度
- 電子的な情報共有(地域医療情報連携ネットワーク等)の活用
- 入退院・往診時の情報共有
などが、はっきりと書き込まれました。
医療側の施設等連携加算とは(診療報酬)
施設等連携加算 は、
病院や診療所が、介護施設の入居者と普段から連携している体制を評価する 診療報酬の加算 です。
- 対象:病院・診療所(在宅医療を行う医師を含む)
- 内容:介護施設と協力医療機関契約を結び、
- 会議
- 情報共有
- 急変時対応
などを継続的に行っていることを評価
- 算定タイミング:
- 入院時
- 外来受診時
に加算として算定できる
ここで大事なのは、
「入院や外来のときだけの“その場限り”の加算ではなく、
普段からの連携体制があるからこそ算定できる加算」
という点です。
今回の通知(介護保険最新情報Vol.1502)の概要
協力医療機関連携加算の要件変更(会議開催要件の明確化)
通知では、次のように整理されています。
- 背景:令和8年度診療報酬改定で、
医療側の「施設等連携加算」の要件が見直された - 目的:医療と介護でルールがズレないように、
介護側の「協力医療機関連携加算」の要件もそろえる(整合を取る)
会議開催の基本ルール
- 原則:月1回以上の会議を開催
- 入居者の状態
- 医療的ケアの方針
- 急変時の対応方法
などを話し合う
電子的な情報共有がある場合の緩和
- 地域医療情報連携ネットワーク(地連NW)などで
医師が月1回以上記録し、施設側がそれを確認できる体制がある場合
→ 会議は年3回以上でよい
入院・往診が一定数ある場合のさらなる緩和
- 年2件以上の入院
- 年2件以上の往診
のいずれかがあり、
その際に適切な情報共有が行われている場合
→ 会議は年1回以上でもよい
こうした考え方は、医療側の「施設等連携加算」の要件と同じ方向で整理されています。
やむを得ない事情による人員欠如の特例(減算猶予)
もう一つの大きな柱が、
「やむを得ない事情による人員欠如」の特例的な取扱い です。
どんなときの特例か
- 職員の急な退職
- 職員本人や家族の長期の体調不良
- 突然の事情で1か月を超える不在 など
事業所の努力ではどうにもならない事情で、
配置基準の1割以内の人員が欠けてしまった場合 を想定しています。
特例が認められる条件(イメージ)
- ハローワークや福祉人材センターなどで求人している
- 民間の紹介会社を使う場合は、適正認定を受けた事業者を含めて活用している
- 自社ホームページ等で採用情報を出すなど、積極的に採用活動をしている
- ホームページがない場合は、その分は求めないとされています
- 残った職員に過度な負担がかからないよう、勤務シフトなどを工夫している
猶予される内容
- 本来なら「人員欠如による減算」の対象になるところを、
発生月の翌々月まで減算を猶予 できる - 1年に1回まで 利用可能
- 所定の様式で届出が必要(サービスごとに様式番号が設定)
- 有効な求人票の写しなどを添付
通所系・短期入所・特定施設・地域密着型サービスなど、
多くのサービスに共通して適用される仕組みです。
ケアマネジャーが実務で押さえるポイント
事業所から相談されやすい場面
- 「職員が急に辞めてしまった」
- 「長期の病休が出て、人員基準をギリギリ割りそう」
- 「減算になるのか、特例が使えるのか知りたい」
こうした相談を受けたときに、
- 人員欠如の特例があること
- 条件を満たせば、1年に1回だけ減算を猶予できること
を知っているかどうかで、利用者等へ適切な説明が可能となります。
利用者・家族への説明のコツ
協力医療機関連携加算や施設等連携加算は、
利用者・家族から見ると少しイメージしづらい加算です。
説明するときは、例えばこんな言い方が使えます。
- 「普段から施設と病院が話し合っていることで、
体調が急に悪くなったときも、スムーズに対応しやすくなる仕組みです。」 - 「入退院のときに、施設と病院が情報を共有しやすくなるように、
あらかじめ連携のルールを決めておくことを評価する加算です。」
人員欠如の特例については、
- 「職員が急に辞めてしまったときなどに、
すぐに減算になって事業所が立ち行かなくならないように、
一定の条件を満たせば一時的に猶予する仕組みです。」
といったイメージで伝えると、
不安をあおらずに説明しやすくなります。
Q&Aで示された重要ポイント
- 「随時確認できる体制」とは? → 地域医療情報連携ネットワーク(地連NW)等で 医師が入居者情報をいつでも確認できる状態。
- 「1年に1回」の起算日 → 人員欠如が発生した月の翌々月の初日から。
- 自社ホームページがない場合の求人情報発信 → 必須ではない(あれば望ましい)。
まとめ:医療と介護の「普段からの連携」を評価する流れ
今回の通知(介護保険最新情報Vol.1502)は、
- 医療側(診療報酬)の 施設等連携加算 の見直しを受けて
- 介護側の 協力医療機関連携加算 の要件をそろえ
- さらに、人員不足で事業所が一気に追い込まれないようにする特例 を整えた
という流れの中にあります。
ケアマネジャーとしては、
- 「医療と介護が普段から連携していることを評価する加算」
- 「人員不足が起きたときの1年に1回の救済措置」
この2つを押さえておくことで、
事業所・医療機関・利用者・家族との調整がしやすくなります。
引用・参照
- 厚生労働省 老健局
介護保険最新情報 Vol.1502
「『指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について』等の一部改正について 及び当該通知の発出に伴うQ&Aの発出について」

コメント