結論
今回の厚労省「事務連絡」は――
- 新しい制度が始まる通知ではなく、自治体が使える“実務ガイド”が公開されたというお知らせ
- テーマは
- 身寄りのない在宅高齢者への支援
- 保険外サービス活用の進め方
- 自治体だけでなく、地域包括支援センター・ケアマネ・社協・医療機関・民間事業者にも共有してほしい内容
- 地域ケア会議や在宅医療・介護連携会議など、今後の地域づくりの議論の土台になる資料
ケアマネジャーにとっては、
「身寄りのない高齢者をどう支えるか」
「保険外サービスをどう説明し、どう案内するか」
その“考え方と手順”が整理された、実務に直結する資料です。
身寄りのない在宅高齢者支援と保険外サービス活用の事務連絡の位置づけ
この文書は「事務連絡」です。
厚生労働省が、都道府県・市町村の介護保険担当課あてに出したものです。 厚生労働省
- 目的:
- 令和7年度の2つの調査事業の報告書が公開されたので
- 自治体の施策づくりに活用してほしいという情報提供
- ポイント:
- 「新しい制度スタート」ではない
- 「自治体が使える実務資料が公開された」というお知らせ
- 発出元:
- 厚生労働省 老健局 認知症施策・地域介護推進課
- 宛先:
- 都道府県介護保険担当課
- 市町村介護保険担当課
文書には、
「貴関係諸団体に速やかに送信いただきますよう」
と書かれており、自治体から地域包括支援センター・ケアマネ団体・社協などへの周知が期待されています。 厚生労働省
2つの調査事業のポイント(身寄りのない在宅高齢者支援と保険外サービス活用)
身寄りのない在宅高齢者への支援に関する調査事業の概要
事業名:
令和7年度老人保健健康増進等事業
「身寄りのない在宅高齢者への支援に関する調査事業」 厚生労働省
実施主体:
株式会社日本総合研究所
調査のねらい:
- 身寄りのない高齢者のニーズを把握する
- そのニーズに合う地域資源とのマッチングの仕組みを整理する
- そのために自治体に求められる体制・役割を明らかにする
- 取組のプロセス(流れ)・効果・課題を整理する
成果物:
- 自治体が「身寄りのない高齢者支援」に取り組むときの
論点やポイントをまとめた自治体向けガイドブック
自治体向けガイドブックのねらい(身寄りのない在宅高齢者支援)
このガイドブックは、自治体職員を主な対象にした“手順書”です。
- どこから着手するか
- 誰と連携するか
- どのように議論を進めるか
- どんな施策につなげるか
といった流れが、段階的に整理されています。
ケアマネ視点で見ると、次のような場面で役立ちます。
- 身寄りのない利用者の支援フローを自治体と一緒に考えるとき
- 地域ケア会議で、身寄りのない高齢者の支援体制を議題にするとき
- 成年後見制度や見守り体制など、関係機関との役割分担を整理するとき
保険外サービス活用推進等に関する調査研究事業の概要
事業名:
令和7年度老人保健健康増進等事業
「保険外サービス活用推進等に関する調査研究事業」 厚生労働省
実施主体:
こちらも株式会社日本総合研究所
調査のねらい:
- 市町村における地域ニーズを解決する保険外サービスについて
- 効果的な創出・普及の方法
- 体制のつくり方を整理すること
成果物:
- 保険外サービスを情報提供するときの
基本的なステップ - 各ステップごとの留意点
- それらをまとめた手引き・ポイント集
保険外サービス情報提供の基本ステップ
報告書・手引きでは、保険外サービスの情報提供について、次のような流れが整理されています(要約イメージ)。
- 1. ニーズの整理
- 介護保険サービスだけでは足りない部分を一緒に確認
- 2. 利用できる保険外サービスの情報収集
- 生活支援、配食、移動支援、訪問理美容など
- 3. 情報提供のしかたを工夫
- メリット・費用・契約のポイントをわかりやすく説明
- 4. 利用後のフォロー
- 実際に使ってみてどうだったか、困りごとはないか確認
ケアマネ・地域包括が説明するときのポイント
手引きでは、ケアマネ・地域包括が保険外サービスを説明するときの注意点も整理されています。
- 介護保険サービスとの違いをはっきり伝える
- 公的サービスか、民間サービスか
- 自己負担の有無・金額
- 契約主体が誰かを明確にする
- 本人・家族と事業者の直接契約になることが多い
- トラブルを防ぐためのポイントを伝える
- 契約内容の確認
- 解約条件
- 連絡先の共有
- ケアマネの立ち位置を整理する
- あくまで「情報提供」と「調整」が中心であり、
事業者との契約そのものは本人・家族の判断であること
- あくまで「情報提供」と「調整」が中心であり、
終身サポート(身元保証・死後事務など)のポイント
手引きでは、次のような終身サポート系サービスも整理されています。
- 身元保証
- 死後事務(葬儀・納骨・遺品整理など)
- 見守り・緊急時対応
これらは、介護保険ではカバーしきれない領域であり、
身寄りのない高齢者支援とも深くつながるテーマです。
ケアマネとしては、
- どのようなサービスが地域にあるのか
- 料金体系や契約内容はどうか
- 自治体や社協、専門職(弁護士・司法書士など)との連携はどうするか
といった点を、自治体のガイドラインや地域のルールと合わせて確認しておくことが重要になります。
厚労省事務連絡が自治体とケアマネに求めていること
文書には直接書かれていませんが、内容から見えるメッセージははっきりしています。 厚生労働省
1. 報告書を自治体施策に活用してほしい
- 地域包括ケアの“すき間”を埋めるための資料
- 特に、次のような領域の強化がねらい
- 身寄りのない高齢者への支援
- 保険外サービスの活用
2. 関係団体にも速やかに共有してほしい
- 自治体 → 関係機関へ周知が期待されている
- 地域包括支援センター
- ケアマネジャー協議会
- 社会福祉協議会
- 医療機関
- 民間サービス事業者 など
3. 今後の地域づくりの基礎資料として使ってほしい
- 地域ケア会議
- 在宅医療・介護連携会議
- 生活支援体制整備
- 成年後見制度利用促進
など、地域の会議や検討の場で、
「身寄りなし支援」と「保険外サービス活用」を議論するための土台資料として使ってほしい、という意図が読み取れます。
自治体・地域包括・ケアマネが今やるべき実務対応
ここからは、この通知を受けて、現場として何をすればよいかを整理します。
1. 報告書・ガイドブックをダウンロードして内容を把握
- 自治体担当課:
- 2つの報告書とガイドブック・手引きをダウンロード
- 自治体内で共有(介護保険担当、地域包括支援、地域福祉など)
- 地域包括・ケアマネ:
- 自治体から共有された資料を読み、
自分の担当する地域・利用者像に当てはめて考える
- 自治体から共有された資料を読み、
特に次の2点は、自治体施策とケアマネ実務に直結します。
- 身寄りのない高齢者支援の体制づくり
- 保険外サービスの情報提供体制の整備
2. 関係機関への周知と情報共有
- 周知先の例:
- 地域包括支援センター
- ケアマネジャー協議会
- 社会福祉協議会
- 医療機関(在宅医・病院地域連携室など)
- 民間サービス事業者(配食、移動支援、訪問理美容、身元保証など)
- 共有のしかたの例:
- 研修会・勉強会での紹介
- メールニュース・会報での案内
- 地域ケア会議での資料配布
3. 地域ケア会議等で「身寄りなし支援」と「保険外サービス活用」を議題化
- 地域の課題整理
- 身寄りのない高齢者がどのくらいいるか
- どんな場面で支援が行き届いていないか
- 既存資源の棚卸し
- すでにある保険外サービス・見守り・終身サポートなど
- 社協・NPO・ボランティア・民間事業者の取組
- 体制整備の方向性検討
- 自治体としてどこまで関与するか
- どのような連携会議・協議の場をつくるか
- ガイドブック・手引きの内容を、地域の実情にどう落とし込むか
ケアマネとしては、現場の困りごとを具体的に持ち寄ることが、議論を前に進める大きな材料になります。
4. 自治体独自のガイドラインやフローづくりに活用
報告書・ガイドブック・手引きは、そのまま使うだけでなく、地域版にアレンジして使うことが想定されています。
- 身寄りのない高齢者支援フローの作成
- 相談受付 → アセスメント → 関係機関との連携 → 支援方針決定 → フォロー
- 保険外サービス情報提供フローの作成
- ニーズ整理 → 情報収集 → 情報提供 → 利用支援 → フォロー
- 地域資源マップの更新
- 介護保険サービスだけでなく、保険外サービスも一覧化
- 終身サポート・身元保証・死後事務なども含めて整理
ケアマネ視点では、
「このフローなら、担当者が変わっても同じように説明・対応できる」
という状態を目指すと、チームとして動きやすくなります。
地域包括ケアにおける身寄りのない在宅高齢者支援と保険外サービス活用の意味
今回の文書の核心は、次の一文に集約できます。
「身寄りなし高齢者支援」と「保険外サービス活用」は、今後の地域包括ケアの重点テーマである。
介護保険だけでは、すべての生活ニーズを満たすことはできません。
- 生活支援
- 移動支援
- 配食
- 訪問理美容
- 身元保証・死後事務などの終身サポート
こうした領域は、保険外サービスが担う部分が大きくなっています。
今回の資料は、
- その“すき間”をどう埋めるか
- ケアマネ・地域包括がどう情報収集し
- どう説明し
- どうフォローするか
を、体系的に示した実務マニュアルと言えます。
まとめ|ケアマネが押さえておきたいポイント
最後に、ケアマネ視点での押さえどころを整理します。
- これは制度改正の通知ではなく、「実務で使えるガイドが公開された」という事務連絡
- テーマは
- 身寄りのない在宅高齢者への支援
- 保険外サービス活用の進め方
- 自治体・地域包括・ケアマネ・社協・医療機関・民間事業者など、地域全体で共有して使うことが期待されている
- 地域ケア会議や在宅医療・介護連携会議などで、
「身寄りなし支援」と「保険外サービス活用」を議題にするための土台資料 - ケアマネとしては、
- 報告書・ガイドブック・手引きを一度きちんと読み
- 自分の担当する利用者・地域の状況に当てはめて考え
- 地域の会議や研修で、具体的な事例とともに共有していくこと
が重要になります。
出典
- 厚生労働省 老健局 認知症施策・地域介護推進課
「介護保険最新情報 Vol.1503
令和7年度老人保健健康増進等事業
『身寄りのない在宅高齢者への支援に関する調査事業』及び
『保険外サービス活用推進等に関する調査研究事業』の報告書について(情報提供)」 厚生労働省

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