結論(この記事で伝えたいこと)
地域医療介護総合確保基金は、「地域で医療と介護を続けられるようにするための大きな財布(基金)」で、都道府県が施設整備や人材確保に使うお金の仕組み。
- 介護保険最新情報Vol.1496は、この基金のルールをまとめた「管理運営要領」の一部を改正し、令和8年4月1日から適用するという通知。
- 主な改正は
- 介護施設等の整備に使う配分基礎単価を+7.7%引き上げ
- (分配基礎単価=介護施設などを整備するときに、国が「このくらいの費用を基準に補助金を出しますよ」と決めている“基準の金額”のこと。)
- 介護従事者の確保に関する事業で、訪問介護・通所介護・ケアマネ体制・多様な働き方などの支援メニューを新設・拡充
- そのほか、ダウンサイジングや移転、空き家活用、災害リスク地域の扱いなどの書きぶりを整理・明確化
- ケアマネジャーにとっては、「将来の施設整備」「地域の訪問介護・通所介護の維持」「ケアマネ体制の支援」に関わる土台となる通知であり、中長期の地域づくり・事業戦略を考えるうえで重要。
地域医療介護総合確保基金とは何か
地域医療介護総合確保基金の目的
- 目的:
- 地域で「医療」と「介護」を切れ目なく提供できるようにするため、
- 国と都道府県が一緒にお金を出し合って作っている基金。
- イメージ:
- 都道府県ごとに「地域医療介護を支えるための共通の財布」があり、
- そこから、
- 病院・介護施設の整備
- 在宅医療・在宅介護の体制づくり
- 介護人材の確保・定着 などにお金を出していく仕組み。
基金のお金はどこにどう流れるか
- お金の流れ:
- 国 → 都道府県(基金)
- 都道府県 → 市町村や法人・事業者(補助金・交付金など)
- 都道府県の役割:
- 「地域医療構想」や「介護保険事業(支援)計画」を踏まえて、
- どの地域に、どのくらい施設や人材が必要かを考え、
- 基金を使って整備・人材確保を進める。
管理運営要領とは
- 管理運営要領:
- 正式名称は「地域医療介護総合確保基金管理運営要領」。
- 基金をどう管理し、どんな事業にどう使うかを定めた「ルールブック」。
- 今回の介護保険最新情報Vol.1496は、このルールブックの一部を改正する通知。
介護保険最新情報Vol.1496の位置づけ
通知の正式名称と対象
- 通知名: 「医療介護提供体制改革推進交付金、地域医療対策支援臨時特例交付金及び地域介護対策支援臨時特例交付金の運営について」の一部改正について
- ポイント:
- 平成26年の通知で示された管理運営要領(別紙)のうち、
- 別記1「介護施設等の整備に関する事業」
- 別記2「介護従事者の確保に関する事業」 を中心に改正。
- 改正内容は令和8年4月1日から適用。
- 平成26年の通知で示された管理運営要領(別紙)のうち、
ケアマネジャーにとっての意味
- 直接は:
- 介護報酬の算定ルールやケアプランの書き方がすぐに変わる通知ではない。
- 間接的には:
- 将来の施設整備(特養・老健・介護医療院・小多機・看多機など)
- 訪問介護・通所介護の事業継続や多機能化
- ケアマネジャーの配置・体制を支える支援事業 などに影響するため、中長期的に現場の選択肢や働き方に関わってくる通知。
何がどう変わったのか(新旧対照表のポイント)
ここでは、新旧対照表の全ての文言ではなく、「考え方として何が変わったのか」を整理します。 (具体的な文言・数値は、必ず原文の新旧対照表で確認してください。)
介護施設等の整備に関する事業の改正内容(配分基礎単価+7.7%ほか)
配分基礎単価の引上げ(何がどう変わったか)
- 改正前:
- 物価上昇や建築費の高騰が進む中でも、
- 施設整備に使う「配分基礎単価」は、過去に設定された水準がベース。
- 改正後:
- 近年の物価上昇・建築費の高騰を踏まえ、
- 配分基礎単価を一律に+7.7%相当引き上げ。
- 意味するところ:
- 同じ規模・同じ種類の施設を整備する場合でも、
- これまでより高い単価を基準に助成額が算定される方向。
- 実際にどのくらいの金額になるかは、
- 別表1の各施設区分(地域密着型特養、小規模老健、小規模介護医療院、認知症GH、小多機、看多機など)ごとの単価を確認する必要がある。
ダウンサイジング・移転・空き家活用などの整理(書きぶりの明確化)
新旧対照表では、次のような点について表現の整理・明確化が行われているとされています。
- ダウンサイジング支援の整理:
- 大規模な施設を小規模化する場合の支援の考え方を整理。
- 「どのようなケースを対象とするか」「どのような整備を想定しているか」が、より分かりやすい書き方に。
- 移転を伴う場合の扱い:
- 施設の移転を伴う整備について、
- 原則・例外の考え方や、対象となるケースを明確化。
- 空き家等の改修・活用:
- 空き家や既存建物を改修して介護施設等として活用する場合の基準を整理。
- 「どの程度の改修を想定しているか」「どのような条件で対象とするか」を明確化。
- 災害リスク地域(レッドゾーン・イエローゾーン)の扱い:
- 災害リスクの高い区域にある施設の改築・移転について、
- 対象外となるケースや、支援の考え方を整理。
ケアマネ視点で押さえておきたいポイント
- 施設整備のハードルが少し下がる可能性:
- 単価引上げにより、
- 新規整備や建替え、ダウンサイジング、空き家活用などの計画が立てやすくなる可能性。
- 単価引上げにより、
- 地域の選択肢の変化:
- 小規模多機能・看多機・認知症GHなど、
- 在宅と施設の中間的なサービスの整備が進めば、
- ケアマネとして提案できる選択肢が増える。
- 小規模多機能・看多機・認知症GHなど、
- 災害リスクと施設配置:
- 災害リスクの高い地域からの移転が進むと、
- 利用者の生活圏が変わる可能性もあり、
- 事前の情報収集と家族への説明が重要になる。
- 災害リスクの高い地域からの移転が進むと、
介護従事者の確保に関する事業の改正内容(新設・拡充)
管理運営要領別記2「介護従事者の確保に関する事業」では、 対象事業の新設・拡充が行われました。
改正前のイメージ
- これまでも、
- 介護人材の確保・定着、
- 研修、
- 働きやすい職場づくり などを支援する事業は存在していた。
- ただし、
- 訪問介護のタスクシフト・タスクシェア、
- 通所介護の多機能化(訪問機能の追加)、
- 人口減少地域へのサテライト設置、
- ケアマネジメント提供体制の確保 といった具体的なメニューは、ここまで明確には位置づけられていなかった。
改正後に新設・拡充された5つの事業
通知本文で示されている5つの事業は次のとおりです。
- 訪問介護事業所等におけるタスクシェア・タスクシフトの推進支援事業(新設)
- 何が変わったか:
- 訪問介護の現場で、
- 介護福祉士・ヘルパーが担う仕事の一部を、
- 他職種や別の役割のスタッフと分け合う(タスクシェア)、
- あるいは業務の一部を別の職種に移す(タスクシフト) 取り組みを、基金事業として明確に支援対象に位置づけた。
- 訪問介護の現場で、
- ねらい:
- 人手不足の中でもサービスを維持するため、
- 「誰がどの仕事をするか」を見直し、
- 現場の負担を減らしつつ、サービス提供を続けられる体制をつくる。
- 何が変わったか:
- 通所介護事業所等の多機能化(訪問機能の追加)の支援事業(新設)
- 何が変わったか:
- デイサービスなどの通所介護事業所が、
- 新たに「訪問」の機能を持つようにする取り組みを、
- 基金事業として支援することを明確化。
- デイサービスなどの通所介護事業所が、
- ねらい:
- 通いが難しい利用者にもサービスを届けるため、
- 「通い」と「訪問」を組み合わせた柔軟なサービス提供を後押し。
- 何が変わったか:
- 人口減少地域等への訪問介護事業所のサテライト(出張所)設置の支援事業(新設)
- 何が変わったか:
- 人口が少なく、事業所が採算を取りにくい地域に、
- 本体事業所とは別に「サテライト(出張所)」を設ける取り組みを、
- 基金で支援することを明確に位置づけた。
- 人口が少なく、事業所が採算を取りにくい地域に、
- ねらい:
- 「ヘルパーが来てくれる事業所がそもそもない」という地域を減らし、
- 地域間格差を小さくする。
- 何が変わったか:
- 地域のケアマネジメント提供体制確保支援事業(新設)
- 何が変わったか:
- ケアマネジャーが不足している地域や、
- 小規模な事業所が多く体制が不安定な地域などで、
- ケアマネジメント提供体制を維持・強化する取り組みを、
- 基金事業として新たに位置づけた。
- ケアマネジャーが不足している地域や、
- ねらい:
- 「ケアマネがいないからサービスにつながらない」という事態を防ぎ、
- 地域全体としてケアマネジメントを提供できる体制を守る。
- 何が変わったか:
- 介護現場における多様な働き方や常勤化導入支援事業(拡充)
- 何が変わったか:
- もともとあった「働きやすい職場づくり」などの支援を、
- 多様な働き方(短時間勤務、シフトの工夫、在宅勤務の一部導入など)
- 常勤化の促進(パートから常勤への移行支援など) にまで広げる方向で、事業内容を拡充。
- もともとあった「働きやすい職場づくり」などの支援を、
- ねらい:
- 介護職が長く働き続けられるようにし、
- 結果として人材の定着・確保につなげる。
- 何が変わったか:
ケアマネ視点での実務的な意味
- 訪問介護・通所介護の「地域の足」を守る仕組み:
- サテライト設置や多機能化の支援により、
- 「サービスが届きにくい地域」にも事業所が入りやすくなる可能性。
- サテライト設置や多機能化の支援により、
- ケアマネ体制への直接的な支援:
- ケアマネジメント提供体制の支援事業が明示されたことで、
- 将来的に、
- 地域ケア会議の運営、
- 共同事務所・連携体制の構築、
- 新人ケアマネの育成・定着 などが基金事業として支援される余地が広がる可能性。
- 将来的に、
- ケアマネジメント提供体制の支援事業が明示されたことで、
- 働き方の選択肢が増える:
- 多様な働き方・常勤化支援により、
- 子育てや介護と両立しながら働く職員、
- 常勤として腰を据えて働きたい職員 それぞれに合った働き方を整えやすくなる。
- 多様な働き方・常勤化支援により、
その他の改正(書きぶりの整理・対象の明確化)
事業内容の明確化
- 通知では、「このほか、事業内容の明確化等の所要の改正を行う」とされています。
- 新旧対照表を見ると、
- 事業の目的や対象の表現を分かりやすくする修正、
- 似たような表現の整理、
- 対象外となるケースの明示 などが行われていると考えられます。
実務上の確認ポイント
- 都道府県・市町村の担当者:
- 自治体として基金事業を設計・公募する際に、
- 新旧対照表をもとに、
- どの事業をどのような形で実施するかを検討する必要。
- 自治体として基金事業を設計・公募する際に、
- 法人・事業者:
- 施設整備や人材確保の計画を立てる際に、
- 自治体が公表する募集要項や実施要綱を確認し、
- 自法人が活用できるメニューを見極めることが重要。
- 施設整備や人材確保の計画を立てる際に、
ケアマネジャーとしてどう活かすか
今すぐの算定には影響しないが「中長期の地図」になる通知
- 介護保険最新情報Vol.1496は、
- 日々のケアプラン作成や算定ルールを直接変えるものではない。
- しかし、
- どの地域にどんな施設・事業所が増えるか
- どのような人材支援が用意されるか を左右する通知であり、
- 中長期的には、ケアマネの支援の選択肢や働き方にも影響してくる。
ケアマネとして押さえておきたい行動のヒント
- 1.自分の都道府県の基金事業メニューを確認する
- 同じ通知でも、都道府県ごとに事業の組み立て方は異なる。
- 県のホームページや担当課の資料で、
- どのような施設整備・人材確保事業があるかを確認しておく。
- 2.地域の事業者と情報共有する
- 訪問介護・通所介護・小多機・看多機・居宅介護支援事業所などと、
- 「今後、どのような整備・人材確保の支援がありそうか」 を共有し、
- 地域としてどのような体制を目指すか話し合うきっかけにする。
- 訪問介護・通所介護・小多機・看多機・居宅介護支援事業所などと、
- 3.利用者・家族への説明に活かす
- すぐにサービス内容が変わるわけではないが、
- 「地域として、こういう方向で体制を整えようとしている」 という大きな流れを知っておくと、
- 将来の選択肢や地域の方向性を説明しやすくなる。
- すぐにサービス内容が変わるわけではないが、
まとめ
- 地域医療介護総合確保基金は、
- 地域で医療と介護を続けられるようにするための「共通の財布」であり、
- 施設整備や人材確保に使われる重要な仕組み。
- 介護保険最新情報Vol.1496では、
- この基金のルールを定めた「管理運営要領」の一部が改正され、
- 令和8年4月1日から適用される。
- 主な改正点は、
- 介護施設等整備の配分基礎単価+7.7%引上げ、
- 訪問介護・通所介護・サテライト・ケアマネ体制・多様な働き方など、 介護従事者の確保に関する事業の新設・拡充、
- ダウンサイジングや移転、空き家活用、災害リスク地域の扱いなどの書きぶりの整理・明確化。
- ケアマネジャーにとっては、
- すぐの算定ルール変更ではないものの、
- 将来の施設整備・人材確保・働き方に関わる「土台」を示す通知として、
- 自分の地域の基金事業の動きと合わせて押さえておきたい内容。
出典・参考リンク
- 厚生労働省「医療と介護の一体的な改革(地域医療介護総合確保基金に関する通知)」
- 介護保険最新情報Vol.1496(厚生労働省通知)
(実務での判断・申請にあたっては、必ず厚生労働省の原通知および都道府県が公表する最新資料をご確認ください。)


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