【解説】老健入所者への「処方せん発行ルール」が改正 介護保険最新情報 Vol.1486

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老健入所者への「処方せん発行ルール」が改正

― 令和8年6月1日から何がどう変わる?

介護老人保健施設(老健)に入所している方が、医師の往診や通院(対診)で診察を受けた際、
医師が“保険薬局向けの処方せん”を発行できるかどうかには、これまでも厳しいルールがありました。

今回の改正では、この例外規定(=処方せんを出してよい特別なケース)が見直され、
対象となる薬の種類が拡大したことが大きなポイントです。


🧩 そもそも基本ルールは?

老健入所者を往診・通院で診た医師は、
原則として、保険薬局で薬を受け取るための処方せんを出してはいけない
という決まりがあります。

理由はシンプルで、
老健では「施設内で薬を管理・提供する」仕組みが基本だからです。


🆕 今回の改正で何が変わった?

例外として「処方せんを出してよいケース」は以前からありましたが
今回の改正で 例外の内容が拡大・整理 されました。

特に大きな変更点は次の3つです。


① 免疫・アレルギー疾患の治療薬が追加

→ JAK阻害薬・生物学的製剤が新たに対象に

入所前から継続して使用しており、他の薬に代えられない場合に限り、
以下の薬について処方せん発行が認められます。

  • JAK阻害薬
  • 生物学的製剤(関節リウマチなどで使用する注射薬)

これまでは対象外だった薬が、新たにOKになった点が大きな変更です。


② 腎性貧血の治療薬の対象が拡大

在宅透析(血液透析・腹膜透析)を受けている入所者で腎性貧血がある場合、
処方せん発行が認められる薬が増えました。

改正後:対象薬が4種類に拡大

  • エリスロポエチン
  • ダルベポエチン
  • エポエチンベータペゴル
  • HIF-PH阻害剤(新しいタイプの貧血治療薬)
    (慢性腎臓病(CKD)で腎性貧血がある人、透析中の貧血、エリスロポエチン(ESA)が効きにくい人)

以前は2種類のみ → 4種類に拡大。


③ 血友病治療薬の扱いが明確化

血友病などで「出血を抑える効果がある薬」について、
処方せん発行が認められることが明確に示されました。


📝 変更点まとめ(比較表)

項目改正前改正後
免疫・アレルギー疾患の薬対象外JAK阻害薬・生物学的製剤が追加
腎性貧血の薬2種類のみ4種類に拡大(HIF-PH阻害剤など追加)
血友病治療薬記載が限定的対象が明確化

💡 つまりどういうこと?

「老健に入所していても、どうしても必要で施設では対応しにくい薬は、外の薬局で受け取れるようにする」
というルールが、医療の現実に合わせて見直されたということです。

医療の高度化により、
施設内だけでは対応が難しい特殊な薬が増えてきたことが背景にあります。


✍️ まとめ

今回の改正は、老健入所者の治療の継続性を確保しつつ、 施設・医療機関・薬局の役割分担をより明確にする内容となっています。

特に、

  • 免疫疾患の治療薬
  • 腎性貧血の新しい薬
  • 血友病治療薬

など、専門性の高い薬を使用している入所者がいる施設では、 実務に直結する重要な変更です。

また、現場では 在宅酸素の処方 のように、 老健の配置医だけでは対応が難しいケースも少なくありません。 こうした医療的ニーズに対して、 もっとわかりやすく外来受診を医療保険で優先的に算定できる仕組みが整えば、 より適切な処方や継続的な管理につながると感じています。

令和8年6月1日から適用されるため、 今のうちに医師・薬局・施設間の連携体制を確認し、 必要に応じて外来受診の導線も含めた運用を見直しておくことが大切です。

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