結論:公的な制度を知ってから、民間保険が本当に必要かどうかを考えた方が、ムダな出費を減らせます。
この記事の要点
- 要点1: 日本には、医療費・介護費の負担を大きく減らす公的な制度がすでに用意されている
- 要点2: 自分が「どんな保険に」「いくらで」「何の保障に」入っているか分からないまま加入すると、散財になりやすい
- 要点3: 高額療養費制度・高額介護サービス費・高額介護合算療養費・障害年金・傷病手当などを知ると、「どこまで公的に守られているか」が見えてくる
- 要点4: 公的制度で足りない部分だけを民間保険で補う、という考え方が家計を守るコツ
日本の公的医療保険と民間保険の関係
国民皆保険とは何か
- 内容: 日本では、基本的にすべての人が何らかの医療保険に加入しています(国民皆保険)。
- 自己負担: 医療機関の窓口で支払うのは、原則1〜3割です。
- 安心感: 具合が悪くなったとき、全国どこでも一定水準の医療を受けられる仕組みになっています。
この土台があるからこそ、「本当に民間保険がどこまで必要なのか?」を一度立ち止まって考える価値があります。
なぜ民間医療保険に入る人が多いのか
- きっかけが他人任せ:
「勧められたから」「みんな入っているから」という理由で加入している人は少なくありません。 - 自分の経験:
20歳のとき、知り合いの保険担当者に言われるまま、掛け捨て月6,000円(入院・死亡保障)に加入。
10年間で72万円払いましたが、一度も使うことはありませんでした。 - 今も最低限は加入している理由:
「貯金が少ない」「子どもがいる」など、万が一のときの備えとして、保険に頼らざるを得ない面もあります。
大事なのは、「なんとなく」ではなく、自分の状況と公的制度を踏まえて、必要な保障だけを選ぶことです。
保険に入る前に必ず確認したい3つのポイント
1. 何に対する保障なのか
- 入院なのか、通院なのか、死亡なのか、就業不能なのか
- 「病気」「ケガ」「がん」など、対象となる状態は何か
- いつからいつまで支払われるのか
2. どのくらいの金額が出るのか
- 1日いくら、何日分まで出るのか
- 一時金なのか、毎月なのか
- 家族も対象になるのか
3. 公的な制度でどこまでカバーできるか(ここ大事)
私の経験では、民間保険会社の方は不安をあおってきました。下記の話なんてしてもらったことがありません。(あくまでも経験談です)
- 高額療養費制度などで、医療費の自己負担には上限がある
- 介護が必要になったときも、介護保険や高額介護サービス費などの仕組みがある
- 働けなくなったときは、傷病手当金や障害年金が使える場合がある
この3つを知らないまま「お任せで」「とりあえず」で加入すると、本来いらない保険にお金を払い続けることになりかねません。
病気やけがのときに使える主な公的制度
ここからは、代表的な公的制度を整理します。
「こんな制度があるなら、民間保険はどこまで必要か?」を考える材料にしてください。
高額療養費制度(医療費の自己負担に上限がある仕組み)
ポイント:
- 1か月(同じ月)の医療費の自己負担が高額になったとき、一定額を超えた分があとから戻ってくる制度です。
- 上限額は、年齢や所得によって決まっています。
- 平均的な所得の会社員であれば、自己負担の上限はおおよそ8万円程度が目安です(特別室のベッド代や食事代などは含まれません)。 厚生労働省
入院時の食事代について
- 入院中の食事代は、1食あたりの標準負担額が決められています。
- 所得が低い方には、「入院時食事療養費減額認定証」による減額制度があります。 厚生労働省
高額介護サービス費(介護保険サービスの自己負担が高額になったとき)
ポイント:
- 介護保険サービスを利用したときの自己負担が、1か月で高額になった場合に使える制度です。
- 世帯で支払った自己負担額が、所得区分ごとに決められた上限額を超えた分について、あとから払い戻されます。 内閣府
高額介護合算療養費制度(医療+介護の自己負担を合算して軽減)
ポイント:
- 1年間(毎年8月1日〜翌年7月31日)の医療保険と介護保険の自己負担額を合算し、
合計が高額になった場合に、上限を超えた分が支給される制度です。 厚生労働省 内閣府 - 対象は「世帯単位」で、所得区分ごとに上限額が決められています。 全国健康保険協会 内閣府
イメージ:
- 医療費だけでも、介護費だけでも大変なときに、
「医療+介護」を合わせて負担を軽くするための仕組みです。
障害年金(病気やケガで生活や仕事が制限されたときの年金)
ポイント:
- 病気やケガが原因で、生活や仕事に大きな制限が出た場合に受け取れる年金です。
- 現役世代(働いている世代)も対象になります。
- 原則として、障害の原因となった病気やケガの初診日から1年6か月後(またはそれ以前に症状が固定したとき)から受給の可能性が出てきます。
- 受給額は、障害の等級や加入している年金の種類、家族構成などによって変わります。
(例:家族構成や収入によっては、年間でおおよそ200万円程度になるケースもあります)
傷病手当金(病気やケガで働けなくなったときの生活補償)
ポイント:
- 健康保険に加入している人が、病気やケガで仕事ができなくなったときに受け取れるお金です。
- 仕事を休んだ日が連続して3日間(待期期間)あり、4日目以降も働けない状態が続く場合に支給されます。
- 支給期間は、最長1年6か月です。
イメージ:
- 「入院したら収入がゼロになる」という不安を、ある程度やわらげてくれる制度です。
- 会社員や公務員など、健康保険に加入している人が対象です(国民健康保険には原則としてありません)。
公的制度を踏まえて民間保険を見直すステップ
ステップ1:自分の加入している保険を「見える化」する
- どの保険会社の、どの商品に入っているか
- 毎月いくら払っているか(年間いくらか)
- 入院・手術・死亡・就業不能など、何に対していくら出るのか
紙の証券やマイページを見ながら、ノートやエクセルなどに書き出してみると、全体像がつかみやすくなります。
ステップ2:公的制度でどこまでカバーできるかをざっくり試算する
- 入院したとき
- 介護が必要になったとき
- 働けなくなったとき
- 傷病手当金で、一定期間の収入減を補える
- 障害が残った場合は、障害年金の対象になる可能性がある
「最悪のケースでも、ここまでは公的制度で守られる」というラインを知ることで、
民間保険でどこまで上乗せするかを冷静に考えやすくなります。
ステップ3:本当に必要な保障だけを残す
- 貯金がどのくらいあるか
- 家族構成(子どもの有無、配偶者の収入など)
- 働き方(会社員・自営業・パートなど)
これらを踏まえて、次のように考えていきます。
- 「公的制度+貯金」で足りる部分
→ 民間保険はなくてもよい、または小さくてよい - 「公的制度+貯金」では不安が残る部分
→ そこだけを民間保険でピンポイントに補う
「なんとなく安心だから全部入り」ではなく、
「ここだけは自分の家庭ではリスクが大きいから、ここだけ保険でカバーする」
という考え方に変えると、保険料をグッと抑えやすくなります。
まとめ:使える公的制度を知って、ムダな保険料を減らそう
- 日本には、医療費や介護費、働けなくなったときの収入減を支える公的な制度が多数あります。
- 高額療養費制度・高額介護サービス費・高額介護合算療養費・障害年金・傷病手当金などを知ることで、
「どこまで公的に守られているか」が見えてきます。 - そのうえで、本当に必要な部分だけを民間保険で補うという考え方にすると、
長い目で見て大きな節約につながります。
「とりあえず」「勧められたから」ではなく、
自分の人生設計と公的制度を踏まえて、保険を選ぶことが、家計と家族を守る一番の近道です。
引用・参考
(障害年金・傷病手当金については、日本年金機構・加入している健康保険組合・協会けんぽ・市区町村の窓口などで、最新情報と具体的な条件を確認してください)


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