「利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果」について((例文・記入例あり))

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令和3年3月31日 厚生労働省老健局認知症施策・地域介護推進課長通知により、「介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について」(平成11年11月12日老企第29号)について、改定となっている。

居宅サービス計画書の1表の最初の枠の部分が、「利用者及び家族の生活に関する意向」から「利用者及び家族の生活に関する意向を踏まえた課題分析の結果」に変更となった。

一体何が違うのか??っていうと
以前は「どのような内容の介護サービスをどの程度の頻度で利用して、どんな生活をおくりたいのかについての課題分析の結果を記載する。また、家族と本人の主訴は区別する。」となっていました。
法改正後は「課題分析の結果として、「自立支援」に資するために解決しなければならない課題が把握できているか確認する。その為に、利用者の主訴や相談内容等を踏まえた利用者が持っている力や生活環境等の評価を含め利用者が抱える問題点を明らかにしていくこと」を記載する。

利用者が主体的に作成に関与し、利用者本人の目線で作成することが大切です。

ワンポイント
「本人家族の意向」を「課題分析の結果を踏まえ別の言葉」としてとして書き直すことも可能だと思います。その際どうしても本人や家族の主訴は、ネガティブに進みやすいです。それを課題分析することでポジティブに置き換えることも大事です。「健康に不安がある」という主訴は、「病気の相談をしたい」などです。また逆に、不可逆的に身体状況が低下しても「何でもしたいし、今まで通りに過ごしたい」という方もいますが、課題を整理し「不安や苦手があるけど、これからも家で過ごしたい」とつながります。主訴をそのまま記載することで、できないことを助長したり本人の意欲を失うこともあります。利用者が困った状況を改善し望む暮らしをしたいと思えるような前向きな内容にしましょう。

((例文))以前のケアプランからの追記    ※本人家族の意向をそのまま活用してプランに記載している場合

脳血管障害・一人暮らし

(本人は)脳梗塞後の身体機能の低下があり、機能向上が必要である。また、し好品を好まれるため、独居だと生活スタイルが壊れやすく脳梗塞の再発の危険が高い反面、生活に対しての楽しみも持っている。医療管理を含め規則正しい生活が継続できるように見守り支援指導が必要である。
・不全麻痺および及び加齢による運動機能低下に対して理解し不安を感じられている。日常生活を継続するために歩行能力を維持する必要がある。
(脳梗塞・認知症)
身体機能や物忘れなどの心配もあるものの、家族の協力があり、また本人の意欲は前向きで、病気への理解もある。身体機能の改善と共に刺激のある日常生活を過ごす必要がある

認知症・一人暮らし

(本人は)物忘れの理解はあり、生活に不安があるものの、一人ぐらしをこれまでのように続けたい気持ちが強い。ですが、物忘れは徐々に進行し、生活のいたるところで支障が出ている。物忘れの進行予防を図りつつ、生活全体の支援が必要な状況。
(本人は)認知症への理解がなく、生活中断の危機感はない。その影響で食事・洗濯・掃除・外出などの生活全般ができず、別居家族の精神的肉体的負担感は強い。緊急事態に備え、また家族の精神的肉体的な介護負担の軽減が必要だと思われる。
(本人は)判断能力が低下しこれまでの仕事は困難になっているが、まだまだ続けたい気持ちも強い。仕事に関われる方法を検討しつつ、病気に対してのアプローチが必要。
(夫と二人暮らし・バルーン留置)
医療管理の必要性を感じながらも理解力の低下から不安を感じられている。また夫と協力し、今の生活を維持していくことを望んでおり、現状の筋力維持および医療管理の必要性が高い。
(施設入所・脳血管性認知症)
慣れない土地に住むこととなり、閉じこもりがちであるが、本人は社交的に生活することを望まれています。下肢筋力の維持向上および社会参加へのきっかけ作りの必要性が高いと思われます。
(施設入所)
日常の家事作業や外出がスムーズにできずに困ることが多い為、見守りや支援を受けて生活をすることを望まれている。本人の低下した意欲を向上させ、常時生活面全般で見守りや手伝いが必要な状況である。

レビー小体型認知症

(本人は)認知症に関しての理解がないが、足腰の筋力低下は自覚している。現状として、判断力や意欲の低下から閉じこもりや転倒の危険が高い状態にある。(本人と)足腰の強化を行うという意味では一致する所であり、社会参加し、生活機能及び活動の維持向上が必要である。

脊柱管狭窄症 膝関節症 

(脊柱管狭窄症・圧迫骨折
)身体機能が徐々に低下し、転倒を繰り返すことでさらなる機能低下をきたし、生活に不安が強くなっている。今後低下した機能の維持向上を目指し、趣味活動のなどの楽しみを持つ必要がある。
(両膝人工関節)
両膝人工関節手術後であり、移動能力が低下している。もともと社交的で外出の頻度が高くリハビリにも積極的である。低下した下肢筋力を、本人の社会参加に対する意欲をそがないように、身体機能維持と同時に環境整備を行う必要性が高い。
(変形性股関節症・椎間板ヘルニア)
変形性股関節症や椎間板ヘルニアから、痛みや歩行が困難だが、リハビリに対しては積極的であり本人も必要性を理解されている。現在の生活を維持するためには、低下した下肢筋力の維持向上および環境整備が必要な状況。

循環器系

(狭心症 膝関節股関節症 骨粗しょう症 車いす)
両足下垂があり足の上りが悪く、骨粗鬆症や圧迫骨折の既往から、転倒すると再発の可能性が高い。活動性が低く閉じこもりがちなため、本人も社会活動参加の必要性は感じている。外出できるよう生活環境を見直すと同時に、身体の機能維持向上を図る必要がある。
(心不全・低栄養・腎不全・圧迫骨折)
本人は、低栄養状態であり、運動不足からADLがさらに低下している。本人は、家族の負担となりたくないとの希望があり、ADLの維持のためにリハビリや栄養管理を実施していくことについては、本人も感じているところであり実施して言う必要がある。また、今後更なる身体機能の低下時には、施設サービス等の検討も行う必要がある。

大腿骨頚部骨折

(認知症)
大腿骨頚部骨折退院後、下肢筋力が低下し転倒の危険があるが、本人は積極的に歩行をされている。安全に生活を継続するため、下肢筋力の機能向上および転倒予防のための住環境の整備が必要

糖尿病 生活不活発

(本人は)閉じこもりがちで、運動量健康管理ともに不安があり、転倒を繰り返している。このことは本人も自覚されている。生活リズムと整え、社会参加を促し運動機能の回復を必要とする。

寝たきり

ADL低下や、段差の多い生活環境により移動ができない状況にありながらも、本人家族共に自宅での生活を継続したい意向は一致しており、家族は積極的に介護をされている。しかし、清潔保持や環境整備が不十分であり、本人の状態にあった保清方法および住環境の整備が必要である。

リウマチ

(リウマチ)
本人は、身体機能の低下により自宅生活が困難となっていることは理解されている。手足の基本的な運動機能の維持および日常生活全般での支援が必要。

((例文))新しくケアプランを作成する場合  ※本人家族の意向を「課題分析の結果として書き込む場合」

脳梗塞不全麻痺

本人「これまでリハビリを頑張って何とか自宅内では歩けるようになりました。これからも自宅での生活を続けていきたいと感じている。子供には、迷惑をかけれない。自分のことは自分で続けていきたい。」
家族「本人ができることは続けてもらいたい。自分でできることが増えると、不安なく仕事も続けていける。これまでの生活を継続してもらいたい。」
(※当初のアセスメント時には:本人は、課題分析と一致。家族「出来ることはなんでもしてあげたい」と表現されているが、課題分析の結果、上記の様に変更した)

大腸がん手術後ストーマ

本人:以前は地域の学校に竹トンボや竹馬などを教えに行っていた。人工肛門を落として以前のように子供たちにかかわっていたい。
家族:このまま寝たきりになると本人が一番つらい。家でもいいから楽しく過ごせる程度に足腰を強くしてもらいたい。
(※当初のアセスメント時:本人「車をなくしたし、腸閉塞からストーマ増設して、見た目も悪く、漏れたりするし恥ずかしい。」妻「家でじっとしていることが多いです。テレビの前でこたつに入り何もしないで過ごしています。少し体操だけでもしたらいいけど・・・」と表現されているが、課題分析の結果上記のように変更した)

認知症 老衰

本人:頑張って転倒しないように歩いている。介護をする家族に迷惑をかけないようにしたい。自宅で孫やひ孫と会って話すのが楽しみだけど妻の大変さもわかるから、できない所を介護にお願いしたい。
家族:本人の楽しみにしている家族と一緒の生活が継続できるように、ショートステイにて(家族の)負担を軽減を図り少し休める時間を確保してほしい。
(※当初のアセスメント時:本人は課題分析と一致。家族「これまで、家事動作などをしてきたが、動くのもきつくなってきた。少し動くと息が切れます。夫の介護には負担が大きい」と表現されているが、課題分析の結果上記のように変更した)

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