介護現場の未来を守るために──なぜ「経営の協働化・大規模化」が必要なのか?
介護現場では、少子高齢化・人口減少・人材不足といった課題がますます深刻になっています。
こうした状況の中で、介護事業者が安定してサービスを提供し続けるためには、単独の事業所だけでは限界があるという現実が見えてきました。
そこで厚生労働省は、令和8年1月30日付で
「介護現場の働きやすい職場環境づくりに向けた 経営の協働化・大規模化の進め方ガイドライン」
(介護保険最新情報 Vol.1466)を公表しました。
このガイドラインは、全国16の実践事例をもとに、
「協働化」や「大規模化」をどのように進めればよいのかを整理したものです。
■ 協働化・大規模化が必要とされる理由
● 地域ごとに進む高齢化・人口減少
中山間地域や都市部など、地域によってサービス需要の変化は大きく異なります。
その中で、単独の事業所では経営課題を解決できないケースが増えていると指摘されています。
● 人材不足・業務の複雑化
介護ニーズの多様化により、
- ICT導入
- タスクシフト
- 生産性向上
などの取り組みが求められていますが、これも単独では難しい場面が多いのが現状です。
● 他法人との連携が課題解決につながる
社会保障審議会の意見(令和7年12月)でも、
「他事業者との連携・協働化、大規模化は有効」
と明確に示されています。
■ 協働化とは?
複数の法人・事業所が連携し、
- 事務業務の共同化
- 施設・設備の共同利用
- 人材育成の合同実施
- 災害対応の連携
などを行うこと。
目的は“効率化”と“働きやすい職場づくり”です。
■ 大規模化とは?
- 利用者定員の拡大
- 事業所の増設
- 新規サービスの展開
- 合併・事業譲渡
などにより、経営基盤を強化する取り組みを指します。
大規模化は単なる「規模の拡大」ではなく、
人材確保・定着、経営の安定化、地域サービスの維持
を目的としたものです。
■ 協働化の進め方(3ステップ)
① 仲間をつくる
- 地域の会合・交流会に参加
- 行政や社協が主導する場に参加
- 課題や目標を共有する
- 相談しやすい関係性をつくる
事例:
- ICTツールの共同導入(滋賀県)
- 地域の事業者連絡会の設立(大阪府豊中市)
- 社協が主導して連携を促進(福岡県福智町)
② 協働化を検討する
- 合同研修、見学会、意見交換会
- 推進役・調整役の配置
- 協定書を作るか、プロジェクト単位で進めるかを検討
- ケアプランデータ連携システムの共同導入
事例:
- 経営支援や研修動画の共同提供(熊本県)
- 若手職員向けセミナーの共同開催(長崎県)
③ 協働し、PDCAを回す
- 効果検証(研修満足度、業務効率化など)
- 改善点を抽出
- 他分野(障害・児童福祉)との連携も視野に
事例:
- ICTツールの試験運用→本格導入(滋賀県)
- 地域住民への情報提供で安心感向上(福岡県)
■ 大規模化の進め方(3ステップ)
① 大規模化を検討する
- 経営理念・事業計画に基づく方針決定
- 市場調査、地域ニーズの把握
- 自法人の課題分析
② 具体的な準備
- 新規サービスの検討
- 財務試算
- 他法人との競合性や財務状況の分析
- 補助金の活用
事例:
- コミュニティカフェから事業拡大(福祉会)
- 居宅介護支援からスタートし事業展開(スマイリングパーク)
③ 大規模化を実施し、PDCAを回す
- 合併は現場職員への影響も大きいため丁寧に進める
- 現場の声を反映しながら改善を継続
- 行政との連携を密にする
■ まとめ
介護現場の持続可能性を守るためには、
「協働化」と「大規模化」は避けて通れないテーマです。
単独では難しい課題も、
- 他法人との連携
- 行政との協力
- ICTの共同導入
などによって解決できる可能性が広がります。
今回のガイドラインは、
「どこから始めればいいのか?」
「どんな形があるのか?」
を具体的な事例とともに示してくれる実践的な内容です。
地域の介護事業者がつながり、
働きやすい職場づくりと安定したサービス提供を実現するための
大きなヒントになるはずです。
■ 引用元
厚生労働省 介護保険最新情報 Vol.1466(令和8年1月30日)
「介護現場の働きやすい職場環境づくりに向けた 経営の協働化・大規模化の進め方ガイドライン」


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