支援経過記録は、ケアマネジメントの判断根拠や介護報酬請求の裏付けとなる重要な記録です。特に加算の算定や軽度者への支援理由の説明、実地指導時の確認資料としても活用されるため、正確かつ簡潔に記録することが求められます。
この記事では、記録すべき内容を具体的に整理し、実務で迷わず書けるようにポイントをまとめました。
記録に含めるべき主な内容と記載のコツ
● 日時・時間・曜日
記録した日ではなく、実際に出来事が発生した日時を明記します。複数のやりとりがある場合は、時系列で整理するとわかりやすくなります。
記載例:
2026年1月10日(火)10:30 訪問
● 記録者・対応者
実際に対応した職員の氏名(フルネーム)と職種を記載します。記録者と対応者が異なる場合は両方記載しましょう。
記載例:
対応:田中太郎(ケアマネジャー)/記録:佐藤花子(事務)
● 利用者・家族の発言や意向
利用者・家族の発言や意向はできるだけ発言に近い表現で、主観を交えず記録します。要望・不安・拒否・満足など、感情面も含めて記録することが大切です。
記載例:
「最近、夜中に何度も起きてしまって困っている」と本人より訴えあり。
● 状態変化の把握
体調、認知、生活環境、家族状況などの変化を具体的に記録します。継続的なアセスメントの視点を持って記載しましょう。
記載例:
前回訪問時と比較し、歩行時のふらつきが増加。本人は「最近よくつまずく」と話す。
● 支援内容と判断
実施した対応、助言、調整内容を簡潔に記載します。判断に至った理由や背景も添えると、記録の説得力が増します。
記載例:
転倒リスク増加のため、福祉用具専門相談員に歩行器の選定を依頼。本人・家族ともに導入に同意。
● 関係機関との連絡・調整
サービス事業所、医療機関、行政などとのやりとりを記録します。手段(電話・訪問・メール等)と内容を明確に記載しましょう。
記載例:
1月11日 14:00 訪問看護ステーション○○に電話連絡。夜間の排尿回数増加について情報共有。
● 計画変更の検討・実施
軽微な変更であっても、変更の理由や判断内容を記録します。利用者・家族の同意がある場合はその旨も記載します。
記載例:
入浴頻度を週2回→週3回に変更。本人より「寒くて汗をかかないので週3回でよい」との意向あり。
● 加算に関する根拠
特定事業所加算、入退院時連携加算などの要件を満たす対応を記録します。実施日、内容、対象者の条件を明記しましょう。
それぞれの加算について「概要」と「経過記録に記載すべきポイント」を一覧表にまとめたよ👇
| 加算名 | 概要 | 経過記録に記載すべき内容 |
|---|---|---|
| 特別地域居宅介護支援加算 | 地理的条件により訪問に特別な配慮が必要な地域での支援に対する加算 | 対象地域での訪問実施状況、移動手段や所要時間、支援の工夫など |
| 中山間地域等における小規模事業所加算 | 中山間地域で小規模に運営されている事業所への加算 | 地域特性に応じた支援内容、連携体制、訪問実績など |
| 初回加算 | 初回アセスメント・契約・計画作成に対する加算 | 初回訪問日、面接内容、課題の把握、契約・説明・同意の記録 |
| 特定事業所加算 | 質の高いケアマネジメント体制を整備している事業所への加算 | モニタリングの頻度・内容、課題の把握、支援の根拠、連携状況など |
| 特定事業所医療介護連携加算 | 医療との連携体制を強化している特定事業所への加算 | 医療機関との連携内容、情報共有の記録、医療的配慮の支援内容 |
| ターミナルケアマネジメント加算 | 看取り期の支援に対する加算 | 状態変化、家族支援、医療・多職種との連携、判断の経過など |
| 入院時情報連携加算 | 入院時に医療機関へ情報提供を行った場合の加算 | 入院日、情報提供の手段・内容、提供先、連携の目的と結果 |
| 退院・退所加算 | 退院・退所後の支援体制整備に対する加算 | 退院日、退院後の訪問・面接内容、支援体制の調整、関係機関との連携 |
| 緊急時等居宅カンファレンス加算 | 緊急時や必要に応じたカンファレンスの開催に対する加算 | 開催日、参加者、開催理由、協議内容、今後の対応方針 |
- 加算名を記録に直接書く必要はないけれど、「加算の要件を満たしたこと」が読み取れる記録が必要!
- 「いつ」「誰と」「どのような目的で」「どんな内容を共有・判断したか」を具体的に記載することで、加算の根拠として機能します。
- 特に医療連携・退院支援・ターミナル期などは、時系列での記録が重要です。
記載例:
1月12日 ○○病院より退院連絡あり。訪問看護・訪問介護と連携し、退院後の支援体制を調整。入退院時連携加算の対象。
● 軽度者への支援理由
要支援者に対する訪問介護や福祉用具の必要性を明記します。状況や課題、本人・家族の意向を含めて記録しましょう。
記載例:
独居で認知機能の低下が見られ、調理中の火の消し忘れが頻発。安全確保のため、見守り目的で訪問介護を継続。
● 訪問・面接の実施
実施日、場所、面会者、面接内容を具体的に記録します。「本人と面接した事実」が明確に伝わるようにしましょう。
記載例:
1月13日 自宅訪問し、本人と面接。食事内容や服薬状況について確認。
● 特段の事情
訪問できなかった場合など、やむを得ない理由を具体的に記載します。ケアマネ側の都合は「特段の事情」に該当しません。
記載例:
1月14日 本人がインフルエンザ罹患中のため、訪問を延期。電話にて状況確認を実施。
● 同意・説明の記録
利用票・計画書の交付、説明、同意取得の有無を記録します。口頭・書面の別も明記すると丁寧です。
記載例:
1月15日 居宅サービス計画書(第1〜7表)を本人・家族に説明。内容に同意を得て署名済。
実地指導で指摘されないために|運営基準減算を防ぐ記録のポイント
支援経過記録は、制度上の要件を満たしていることを証明する「公的記録」です。不備があると、加算の返還や運営基準減算の対象となることもあります。以下のポイントを押さえて、確実な記録を心がけましょう。
✅ 訪問・面接の実施と記録
- 月1回以上、利用者の居宅を訪問し、本人と面接した事実を記録することが必須です。
- 家族のみとの面会や、デイサービス・病院での面会では要件を満たしません。
- 記録には「訪問場所」「面会者(本人)」「面接内容」を明記しましょう。
✅ モニタリングの実施と記録
- モニタリングは、計画の実施状況の把握と継続的なアセスメントを含む必要があります。
- 「問題なし」だけでは不十分。具体的な観察内容や、今後の支援方針に触れることが大切です。
- 記録は月1回以上が原則。実施していない場合は、特段の事情を明記する必要があります。
✅ 特段の事情の記録
- 訪問やモニタリングが実施できなかった場合は、具体的な理由を記録します。
- 「業務都合」「多忙のため」などの記載は認められません。
- 利用者の入院や感染症、災害など、やむを得ない事情がある場合に限られます。
✅ 計画書・利用票の交付と同意の記録
- 計画書やサービス利用票の交付日・説明内容・同意の有無を記録します。
- 署名の有無や、口頭同意であればその理由も記載しておくと安心です。
まとめ
支援経過記録は、日々の支援を可視化するだけでなく、制度上の要件を満たしているかを示す重要な証拠です。記録の不備は、加算の返還や減算リスクに直結します。以下の3点を意識して、確実な記録を心がけましょう。
- 本人との面接を月1回以上実施し、記録に残すこと
- モニタリングの視点を持ち、支援の根拠や変化を具体的に記録すること
- 訪問できない場合は、特段の事情を具体的に記録すること
これらを意識することで、実地指導や監査にも対応できる、信頼性の高い記録が残せます。支援経過記録は「自分を守る盾」であり、「チームで支援をつなぐ架け橋」でもあります。日々の記録を丁寧に積み重ね、より良いケアマネジメントにつなげていきましょう。

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