令和6年度の介護報酬改定では、高齢者施設と協力医療機関との連携強化が大きなテーマとなり、施設の種類に応じて連携体制の構築が義務化または努力義務化されました。 今回は、その連携状況に関する速報値と、自治体への対応依頼のポイントをわかりやすくまとめます。
連携強化の背景と改定内容
以下の高齢者施設において、医療機関との連携体制の整備が求められています。
義務化(経過措置3年あり)
- 介護老人福祉施設(特養)
- 地域密着型特養
- 介護老人保健施設(老健)
- 介護医療院
- 養護老人ホーム
→ 上記施設は、以下の3要件を満たす協力医療機関の確保が必要です:
- 医師または看護職員による常時相談対応体制
- 常時診療体制の確保
- 入院が必要な場合に原則受け入れ可能な体制(病院に限る)
努力義務
- 軽費老人ホーム
- 特定施設入居者生活介護(地域密着型含む)
- 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
→ 上記は①相談対応体制と②診療体制の確保が努力義務。
📊 速報値(令和7年12月時点)
- 協力医療機関の3要件を満たす施設の割合
・介護老人福祉施設:56.6%
・介護老人保健施設:70.0%
・介護医療院:72.4%
・養護老人ホーム:45.7% - 「まだ検討していない」と回答した施設の割合
・特養:31.6%
・老健:25.0%
・介護医療院:25.0%
・養護老人ホーム:44.1% - 制度の義務化・努力義務化を「知らなかった」施設の割合
・養護老人ホーム:15.4%
・軽費老人ホーム:15.7%
連携が進まない施設への支援と自治体の役割
厚生労働省は、連携が進んでいない施設に対して、自治体が以下のような支援を行うよう求めています:
- 集団指導や運営指導での制度周知と取組促進
- 医療機関とのマッチング支援
- 医師会など地域団体との連携
- 医療機関リストの提供
- 成功事例の共有(横展開)
また、「どこに相談すればよいかわからない」などの課題を抱える施設もあるため、自治体による相談窓口の設置や、在宅医療・介護連携推進事業の活用も推奨されています。
📅 今後の対応と調査予定
- 高齢者施設は、年1回以上、協力医療機関の情報を自治体に提出する必要があります。
- 自治体は、提出情報や地域連携事業を通じて、連携状況を把握・支援することが求められます。
- 令和7年度以降も引き続き、連携体制に関する調査が実施される予定です。
この内容は、「介護保険最新情報Vol.1452」をもとに作成しています。 施設運営者や自治体関係者の皆さまは、経過措置期間終了(令和9年3月末)までに、確実な連携体制の構築を進めていきましょう。

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