〜介護保険制度の持続可能性と利用者の心をどう守るか〜
1. 制度の現状と課題
- 介護保険制度は創設から24年、利用者は3.5倍以上に増加。
- 介護費用は約14.3兆円(令和7年度予算ベース)と制度開始時の4倍に。
- 保険料も制度開始時の月額2,911円から6,225円へ上昇。
- 高齢化が進む中、給付と負担のバランスをどう取るかが大きな課題。
2. 論点の整理
① 保険料負担の在り方
- 高所得者と低所得者の負担をどう分けるか。
- 現在は13段階に分けて設定。さらに細分化や公平性の強化が議論。
② 「一定以上所得」「現役並み所得」の判断基準
- 2割負担・3割負担の対象者をどう決めるか。
- 所得や年金額だけでなく、貯蓄額や金融資産の反映も検討。
③ 補足給付の在り方
- 特養や老健施設の居住費・食費負担軽減制度。
- 預貯金額や非課税年金を考慮する見直しが進んでいる。
④ 多床室の室料負担
- 在宅との公平性を踏まえ、施設利用者にも室料負担を求める方向。
- 慎重意見もあり、今後の議論が続く
⑤ ケアマネジメントの給付
- 現在は利用者負担なし(10割給付)。
- 利用者負担導入の是非が議論されている。
- 「利用抑制の懸念」vs「制度持続性の確保」で意見が分かれる。
⑥ 軽度者への生活援助サービス
- 要介護1・2の生活援助を総合事業へ移行するか。
- 人材不足を踏まえ、専門職と地域住民の役割分担が議論。
⑦ 被保険者範囲
- 現在は40歳以上が対象。
- 若年層への拡大や、逆に高齢者の対象年齢引き上げも検討課題。
⑧ 金融所得・資産の反映
- 保険料や負担割合に金融資産をどう反映させるか。
- 公平性と事務負担のバランスが課題。
3. 今後の方向性
- 全世代型社会保障の理念に沿って、能力に応じた負担を求める。
- 高齢者世帯の消費支出や貯蓄状況を踏まえ、負担範囲を拡大する可能性。
- 2027年度から始まる第10期介護保険事業計画までに結論を出す予定。
まとめ
今回の介護保険部会での書面をまとめると
- 高齢化による費用増大にどう対応するか
- 利用者の安心と制度の持続可能性をどう両立させるか
- 所得や資産に応じた公平な負担をどう設計するか
という大きなテーマです。介護保険制度は「世代間の支え合い」を基本に、今後さらに見直しが進んでいくことになります。

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