介護保険制度は高齢化の進展に伴い、財政の持続可能性が大きな課題になっています。今回の部会では「誰がどれだけ負担するか」「どのように公平性を保つか」が中心テーマでした。ここでは、資料1と資料2を詳しく解説します。
📌 資料1:持続可能性の確保
背景
- 高齢者人口の増加により、介護保険財政は急速に拡大。
- 現行制度のままでは、将来的に財源不足が深刻化する見通し。
主な論点
- 利用者負担の見直し
- 制度創設時は一律1割負担。
- 平成26年改正で「一定以上所得者」は2割負担に。
- 平成29年改正で「現役並み所得者」は3割負担に。
- 現在は2割負担が約4.7%、3割負担が約4.2%。
- 今後は「2割負担対象の拡大」が検討されている。
補足給付の精緻化
- 居住費・食費の軽減制度。
- 所得段階や預貯金基準をさらに細分化し、「本当に必要な人」に絞る。
ケアマネジメント費用
- 現在は利用者負担なし(10割給付)。
- 今後は一部負担を導入するか検討。
業務効率化
- ケアマネジャーの事務負担軽減(ICT活用)。
- 給付管理業務の効率化を進める。
方向性
- 「能力に応じた公平な負担」を基本に、制度の持続可能性を確保。
- 医療保険制度との整合性も考慮しながら調整。
📌 資料2:論点ごとの議論状況
利用者負担
- 慎重派
- 負担増は利用控えや重度化につながる。
- 高齢者の生活実態を踏まえると、負担拡大は困難。
- 積極派
- 公平性・持続可能性のため負担拡大は必要。
- 他の社会保障制度との整合性を保つべき。
補足給付
- 公平性を高めるため、資産基準を導入し細分化。
- 「本当に必要な人」に限定する方向。
ケアマネジメント(論点⑥)
慎重派
- 利用者負担導入で利用控えが起きる懸念。
- ケアマネの公平性・中立性が損なわれる恐れ。
積極派
- 制度維持のため導入すべき。
- 利用者がケアプランに関心を持ち、質向上につながる。
折衷案
- 所得に応じた負担導入。
- 事務費用のみ負担する仕組み。
- 有料老人ホームなど透明性が課題となる施設では利用者負担を求める方向。
✨ まとめ
介護保険制度は「公平性」と「持続可能性」という二つの課題に直面しています。
資料1では「持続可能性の確保」が大きなテーマ。利用者負担の見直し、補足給付の精緻化、ケアマネジメント費用の在り方、業務効率化などが議論されました。
資料2では、各論点ごとの意見が整理され、慎重派と積極派の対立が鮮明に。特にケアマネジメント費用は、これまで無償だったものを「一部負担にするかどうか」が大きな分岐点。
👉 結論は2027年度から始まる第10期計画までに出される予定。介護保険の未来を左右する重要な議論が続いています。
📊 比較表(慎重派 vs 積極派 vs 折衷案)
| 論点 | 慎重派の意見 | 積極派の意見 | 折衷案の方向性 |
|---|---|---|---|
| 利用者負担 | 負担増は利用控えや重度化につながる | 公平性・持続可能性のため負担拡大が必要 | 所得に応じた負担導入 |
| 補足給付 | 高齢者生活実態を踏まえ負担拡大は困難 | 公平性確保のため資産基準導入 | 細分化し「本当に必要な人」に限定 |
| ケアマネ費用 | 利用控え懸念、公平性・中立性が損なわれる恐れ | 制度維持のため導入すべき、質向上につながる | 事務費用のみ負担、有料老人ホームで導入検討 |


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