ガンのターミナル(終末期)のプラン作成について
終末期のケアプランは、本人の意向・病状・家族の状況が短期間で大きく変化するため、柔軟で丁寧な支援が求められます。ここでは、作成時のポイントや着目点、実際に使える例文をまとめています。
ケアプラン作成のポイント
① 告知について
告知済みであれば、本人の口から「どのような最期を迎えたいか」を聞くことができます。しかし未告知の場合、本人の将来の希望と病状の予後予測に大きな乖離が生じ、意向の確認が難しくなります。
課題も絞りづらくなるため、在宅支援を行う上では告知は重要だと考えています。
② 痛みの緩和
リバスタッチパッチの定期薬や、オキノーム酸のレスキュー(痛い時の頓服)等が処方されます。
麻薬の管理は家族にとっても不安が大きいため、訪問看護師に依頼するケースが多いです。
③ 清潔保持
教科書ではヘルパーによる入浴や身体介護が紹介されていますが、実際には終末期の入浴介助は看護師や訪問入浴が中心です。
訪問介護では掃除などの生活援助は可能ですが、支援者がいない場合、自宅に帰る選択をしない方も多いです。
訪問看護は回数制限がなく、高額療養費の適用もあるため、頻回の支援が必要な場合に便利です。
④ 環境について
病院入院中であっても、「治療をしない・蘇生しない」と決め、最期を自宅で過ごすために急遽帰宅されるケースもあります。
その際は、ベッドや福祉用具などの環境整備を迅速に行う必要があります。日頃から福祉用具事業所と連携しておくとスムーズです。
⑤ 精神的な支援
ガンの種類によっては進行が早く、家族が心の準備をする時間がありません。
本人の死を近くに感じながら介護を続ける家族は、本人の死後も生活を続けていく中で大きな負担を抱えます。
家族の疲弊に気を配り、世帯全体を支える視点が重要です。
ケアプランの着目点
| 状態・部位 | 予後予測 | ケアプランの視点 |
|---|---|---|
| 本人の意向の変化 | 在宅希望から急に「病院で過ごしたい」と変わることがある | ・緊急時の連絡体制の確保 ・入院先(バックベッド)の事前確保 |
| 主治医との関わり | 往診可能な医師へ変更することも | ・医療との連携 ・往診同行で所見を共有 |
| 本人の状態の観察 | 痛み → 倦怠感 → 食欲低下 → 点滴 → 意識低下 → 呼吸変化 | ・好きな食べ物の確認 ・早めのベッド導入 ・家族への予後経過説明 ・「会いたい人に会う」機会の確保 |
| 家族の支援 | 「無理」「頑張る」など反応は様々だが、いずれ疲弊する | ・バックベッドの確保 ・デイ ・ショートの受け入れ確認 |
| 皮膚の状況 | 床ずれリスク増加、皮下出血 | ・体位変換機 ・床ずれ防止マットの検討 |
| 生活環境 | ベッド上中心の生活へ | ・自室の確認 ・介護スペースの確保(ベッド周りのスペース確保) ・在宅酸素使用時の火器注意 |
| トイレ | トイレ → 尿器 → ポータブル → おむつへ移行 | ・セルフスペース確保 ・福祉用具の準備 ・排便コントロール |
| 清潔保持 | 入浴困難 → 訪問入浴へ | ・血圧確認 ・入浴可否の主治医確認 |
プランの例文
利用者および家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果
本人:
これまでがん治療を続けて体力が落ちていましたが、リハビリにより室内移動が可能な状態まで回復しました。今後は家族の介護を受けながら自宅で生活したいと考えています。
家族:
本人の思うように生活してほしいと考えています。
総合的な援助の方針
- 主治医と連携し、食事・内服を行いながら痛みのない生活を支援します。
- 住み慣れた自宅で、入浴や食事作りを本人の思いに沿って支援します。
- 転倒不安を軽減し、外出や家族との楽しみを継続できるよう筋力維持に取り組みます。
- 医療・看護・介護と連携し、体調に合わせて不安の少ない生活を支援します。
- 緊急時の体制を整え、家族が安心して生活できるよう支援します。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
長期目標・短期目標・サービス内容
■ 医療管理
| 課題 | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| 自宅で療養生活を続けたい | 在宅で療養生活を継続できる | ・安全に病院受診ができる ・体調を整え不安なく過ごす | ・定期診察 ・検査 ・服薬指導 ・在宅療養の助言 ・相談体制の確保 ・健康状態の観察 |
| 痛みなく過ごしたい | 痛みや苦しみなく過ごせる | ・痛みの不安なく過ごす ・安静時の疼痛緩和 | ・内服指導 ・服薬管理 ・麻薬による疼痛コントロール ・生活環境の整備 ・訪問看護師の助言 |
| 専門家のアドバイスを受けたい | 自分らしく生活を続ける | ・不安なく生活継続 | ・日常生活の助言 ・在宅療養の指導 ・傾聴 ・相談体制 |
| 精神的に安定した状態を維持したい | 精神的に安定して過ごせる | ・顔なじみの中でゆっくり生活 ・家族や専門家に支えられる | ・相談体制の確保 ・緊急時の相談体制 ・不安の傾聴 |
■ リハビリ(活動・外出・環境)
| 課題 | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| 転ぶ心配を少なくして楽しみも維持したい | 趣味活動を維持できる | 会話や活動を楽しみ痛みを忘れることができる | ・活動参加 ・他者交流 ・運動機会の確保 |
| 〇〇まで歩いて行きたい | 妻と食事に出かけられる | 楽しみが作れる | ・屋外歩行練習 ・耐久性向上リハビリ |
| 屋外へ出かけたい | 庭木の手入れができる | 体調に合わせて運動できる | ・下肢筋力維持リハビリ ・体調に合わせた体操 ・環境アドバイス ・手すり設置 |
■ 入浴(自宅浴槽・生活介護・訪問入浴)
| 課題 | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| たまには湯船につかりたい | 心身のリフレッシュ | 環境を整え清潔保持 | ・移動介助 ・浴槽出入り介助 ・シャワー浴など体調に合わせた入浴 |
| 身体の清潔を保ちたい | 清潔な身体で過ごす | 清潔な環境で過ごせる | ・洗濯 ・シーツ交換 |
| 好きだった温泉に入りたい | 自宅で穏やかに過ごす | 精神的リラックス・睡眠促進 | ・簡易浴槽での入浴 ・入浴剤の活用 ・体調に合わせた入浴 ・医師・看護師との連携 |
■ 食事(栄養補給・精神面)
| 課題 | 長期目標 | 短期目標 | 支援内容 |
|---|---|---|---|
| 栄養を摂り体力を維持したい | バランスの良い食事で体力維持 | 3食しっかり食べる・誤嚥しない | ・食形態の工夫 ・食事介助 ・水分補給 ・口腔ケア |
| 好きだった調理をしながらお酒も飲みたい | 精神面の安定 | 食を楽しむ | ・体調が良い時は自分で調理 ・一緒に調理 ・食べたい時に食べたいものを食べる |

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