現在、在宅で人生の終焉を迎える方が増えています。介護保険開始以降、病院で亡くなる方は減少し、自宅や介護施設などで看取りを行うことが多くなっています。住み慣れた自宅で見慣れた家族に囲まれてあの世へ行くことは、国民共通の願いです。
在宅生活を続ける高齢者が、満足した終焉の時を迎えるためには、支援するケアマネジャーの終末期ケアの理解が重要です。
4つの痛みについの理解
死を前にすると、4つの痛みが出てきます。支援者は、高齢者の痛みを理解することが重要です。アセスメント時の視点について理解しましょう。
身体的苦痛
体に対しての痛みや苦しみです。特に夜間帯の痛みがないか確認しましょう。日中は、他者との活動もあり、痛みが薄らぐことがあります。ですが夜になると孤独を感じやすくなり、いろんな思いがめぐり身体的な痛みも感じやすくなります。
男は弱音を吐かない:高齢者の男性は、「男は弱音を吐かない。」を体で子孫に示されてこられた方々です。医師や看護師にも弱音を言われない方も多いです。その際には、表情やしぐさなどに注意し、変化がないか注意しましょう。
身体的苦痛 = 痛み 息苦しさ だるさ 動けないことのつらさ 日常生活の支障
社会的苦痛
大事にしている人(事)を失うことでの痛みです。社会的な地位の喪失や趣味活動ができなくなります。関わり当初より、本人が大事にしていた場所や物などは確認しておくとよいでしょう。病気でできなくなることもあります。その中でも残されたものを大事にすることへの助言やアドバイスが重要です。
治療にかかる費用も社会的苦痛の一つです。治療費を減免する制度を活用し、苦痛を減らせます。高額療養費制度・健康保険限度額適用・標準負担額減額認定申請書などの理解が必要です。
社会的苦痛 = 仕事上の問題 人間関係 経済的な問題 家庭内の問題 相続
スピリチュアルペイン(霊的苦痛)
身体が、治療に対して効果を示さなくなった→心の整理をしていく = 霊的苦痛緩和
介護支援専門員として答えの準備:日常的にはあり得ない回答を準備しておく必要があります。
「死んだら意識はどうなるの?」「天国はありますか?」「死んだらどこに行くの?」など
問いに対しては、答えを出すことが難しいと思います。最初は肯定も否定もしないで、一緒に考えます。でも最後には本人が安心できるような返答を選んでいかなければなりません。
霊的苦痛 = 人生の意味 罪の意識 苦しみの意味 死の恐怖 価値観の変化 死生観に対する悩み
精神的苦痛
治療が長引くことでの苦痛や不安、結果を待つ精神的な不安などの痛みです。
父として・子として・母としてなどの役割の全うできない苛立ちや余命いくばくもない方は恐れや孤独感としての痛みです。
精神的苦痛 = 不安 うつ状態 恐れ いらだち 怒り 孤独感
ケアマネジャーは、診断や治療方針の理解、バックベッドの確保(安心)や入院の可能性などの状況の理解が利用者に寄り添うことで重要となる要素です。そして本人に寄り添い理解し共感することが重要となります。
多職種でのターミナルケア支援
ターミナルケアの提供には、ケアマネジャーだけでは良いケアを提供することができません。終末期ケアには、訪問診療を行う医師、そして毎日の医療を管理提供する訪問看護師、毎日の麻薬の管理をする薬剤師と、状況を共有し本人や家族の願う最後に向けて協力しあうことが重要です。また介護サービスでは、訪問介護や通所サービスなどの提供も有効ですが、本人の体調が不安定なこともあり、医療系のサービスや訪問入浴などでの対応などで事足りることが多いです。また重要なのが、福祉用具レンタルです。レンタルだから症状の進行に合わせて用具を変更、提供していくことができます。いずれにしてもケアマネジャーだけでは、知識知見が乏しく困難が多いです。多くの職種からの助言や協力を受けながら支援を行っていきましょう。
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