
「65歳になったら、障害福祉サービスが使えなくなるのでしょうか?」
そんな相談を受けることがある。 長年、障害福祉サービスを利用してきた方が、65歳の誕生日を迎えると、原則として介護保険に切り替わる。これが、いわゆる「65歳の壁」だ。
■ 法的な根拠は?
この仕組みの根拠は、介護保険法第7条第1項と障害者総合支援法第7条第3項にある。 要するに、「65歳以上の人は、障害があっても介護保険を優先して使ってね」というルールだ。
でも、ここに大きな矛盾がある。
■ なぜ矛盾が生まれるのか?
障害福祉サービスと介護保険サービスは、目的も内容も違う。 障害福祉は「自立支援」が軸。就労支援や移動支援、余暇活動の支援など、生活全体を支える。 一方、介護保険は「介護の必要性」に基づいて、日常生活の支援に特化している。
つまり、65歳を境に、その人の生活スタイルや希望が制度によって制限されてしまうことがある。
■ サービスが減る?でも、希望はある
たしかに、介護保険に切り替わると、今まで使えていたサービスが使えなくなったり、自己負担が増えたりすることがある。 でも、ここであきらめないでほしい。
介護保険で補えないサービスは、障害福祉で継続利用できる場合がある(例:就労継続支援、移動支援など)。
特例給付として、障害福祉サービスの継続が認められるケースもある。
高額障害福祉サービス等給付費制度など、負担軽減の仕組みもある。
つまり、「原則は介護保険」でも、個別の事情に応じて柔軟な対応が可能なんだ。
ここに注意!現場で起こりがちな落とし穴
65歳を迎えた利用者さんの中には、制度の切り替えを知らないまま、これまで通り障害福祉サービスを使い続けてしまうケースがある。 特に、事業所側も制度変更に気づかず、介護保険に切り替わっているのに障害福祉の枠でサービス提供を続けてしまうことがあるんだ。これは、給付の不適正受給や返還請求のリスクにもつながる重大な問題。
だからこそ、ケアマネや相談支援専門員、事業所が連携して、
- 利用者の誕生日や介護保険の申請状況をしっかり把握する
- サービス提供前に「どの制度で提供するのか」を明確にする
- 利用者や家族に制度変更の影響を丁寧に説明する
こうした制度の“すき間”を埋める支援がとても大切なんだ。
■ 尊厳ある生活を守るために
制度のはざまで苦しむ人がいるのは事実。 でも、私たちケアマネや相談支援専門員がしっかりと寄り添えば、その人らしい生活を守る道はある。
65歳になっても、あなたの人生はあなたのもの。 制度に振り回されるんじゃなくて、制度を使いこなして、尊厳ある暮らしを続けていこう。
✅ ケアマネジャーが注意すべきポイント
1. 制度切り替えのタイミングを見逃さない
- 利用者が65歳を迎える前に、障害福祉から介護保険への移行準備を進めること。
- 特に、要介護認定の申請時期や障害福祉サービスの支給期間終了日を把握しておくことが重要。
2. サービス提供事業所との情報共有を徹底する
- 障害福祉サービスを提供していた事業所が、制度変更に気づかずにそのままサービスを継続してしまうケースがある。
- 介護保険に切り替わった後は、介護保険指定事業所でなければサービス提供できないため、不適切な給付や返還リスクが発生する可能性も。
3. 障害福祉サービスとの違いを理解する
- 介護保険では、支援範囲が限定的になることがある(例:同居家族の洗濯は対象外など)。
- 利用者が「今までと同じ支援が受けられる」と誤解しないよう、丁寧な説明と代替案の提示が必要。
4. 障害福祉との連携を怠らない
- ケアマネは介護保険の専門家だけど、障害福祉の知識やネットワークが不足しがちという課題もある。
- 相談支援専門員との連携や、地域の基幹相談支援センターとの協働がカギ。
5. 特例や併用の可能性を見逃さない
- 介護保険で補えない支援(就労支援・同行援護など)は、障害福祉サービスとして継続可能。
- 高額障害福祉サービス等給付費制度など、負担軽減策の活用も視野に。

利用者にとっては、制度の変更は「人生の転機」。 だからこそ、ケアマネが制度の“翻訳者”であり、橋渡し役になることが求められています。
「制度が変わっても、あなたの暮らしは守られますよ」 そう胸を張って言えるように、ぼくらも日々アップデートしていこう💪


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