――実務でそのまま使えるまとめ
通院等乗降介助(いわゆる介護タクシー)は、
「どこまでが乗降介助?」「院内介助はどう算定するの?」
と、ケアマネでも迷いやすいテーマです。
この記事では、厚労省通知・Q&A・院内介助の取扱い文書を踏まえ、
ケアマネ実務で迷わないための“安全な整理”としてまとめ直しました。
1.通院等乗降介助とは?
まずは基本の確認です。
通院等乗降介助とは:
利用者が通院や外出をするときに、
車への乗車・降車、その前後の移動を支援するサービスです。
✔ ポイント
- 対象サービス:訪問介護
- 単位数:片道97単位(地域差あり)
- 運転そのもの(運賃)は介護保険の対象外
2.通院等乗降介助の「範囲」はどこまで?
最も重要なポイントです。
通院等乗降介助で評価されるのは「建物の入口まで」。
✔ 通院等乗降介助に含まれるもの(=入口まで)
- 車への乗車・降車の介助
- 乗車前・降車後の屋外〜玄関までの移動介助
- 玄関先までの誘導・見守り
※ここまでは通院等乗降介助として算定できます。
3.院内介助は「乗降介助の一部」ではない
誤解が多い部分です。
厚労省の整理は次のとおり。
- 院内介助は本来、病院スタッフが対応すべきもの
- ただし、必要性があれば訪問介護として算定してよい
- その場合の区分は 通院等乗降介助ではなく「身体介護」
つまり、
- ❌ 院内介助=乗降介助の延長
- ⭕ 院内介助=条件を満たせば身体介護
という扱いになります。
4.院内介助が「身体介護」として算定できる条件
厚労省通知や保険者の運用を踏まえると、
身体介護として認められやすい条件は次の3つです。
✔ 身体介護として認められやすい3条件
- ケアマネがアセスメントしている
- 病院スタッフだけでは対応が難しい
- 利用者が介助を必要とする心身状態である
✔ 具体例(身体介護として算定しやすいケース)
- 転倒リスクが高く、院内移動に介助が必要
- 認知症で見守りがないと迷子・混乱が起きる
- 排泄介助が必要
- 更衣介助が必要
- 診察室・検査室・会計・薬局までの誘導が困難
これらはすべて、身体介護として算定するのが正しい扱いです。
5.「入口まで」と「入口から先」の整理
実務で迷わないように、表でまとめるとこうなります。
| 場所・場面 | 正しい算定区分 |
|---|---|
| 自宅〜車までの移動 | 通院等乗降介助 |
| 車への乗車・降車 | 通院等乗降介助 |
| 病院の玄関までの移動 | 通院等乗降介助 |
| 病院の玄関から先(院内移動・見守り・排泄介助など) | 条件を満たせば身体介護 |
| 病院内での待ち時間の見守り | 必要性に応じて身体介護か判断 |
❌「院内介助も乗降介助の一部です」は危険
- 制度上、院内介助を乗降介助に含めるのは誤り
- 厚労省も「必要性があれば訪問介護として算定可」と明記
- その区分は 身体介護 が正解
6.病院→病院の送迎はどう扱う?
令和3年度改定で次のように整理されました。
居宅が始点または終点に含まれていれば、病院→病院の移送も通院等乗降介助として算定OK(同一事業所)
✔ 例:自宅 → A病院 → B病院 → 自宅
- 自宅〜A病院:通院等乗降介助
- A病院〜B病院:通院等乗降介助
- B病院〜自宅:通院等乗降介助
※ただし、院内介助は必要性があれば別途「身体介護」で検討。
7.ケアマネが押さえておきたい実務ポイント
① 事業所が「通院等乗降介助」の届出をしているか
- 届出なし → 通院等乗降介助は算定不可
- 同じ内容を身体介護で算定することも不可
→ 契約前・担当者会議で必ず確認。
② ケアプランに「必要性」を書けているか
院内介助を身体介護で算定するには、
ケアマネのアセスメントとケアプランが極めて重要。
書くべき内容:
- なぜ院内介助が必要なのか
- 病院スタッフや家族では対応が難しい理由
- 転倒リスク・認知症・排泄などの状態
ここが弱いと返還リスクがあります。
③ 相乗り(乗合)の扱い
- 乗降時に1対1で介助していれば算定可能
- ただし訪問介護は本来「1対1」
→ 集団移送になっていないか、安全性の視点が必要。
④ 待ち時間の扱い
- 通院等乗降介助は「一連の外出に関連する行為」を包括評価
- 待ち時間が長くても、それだけで身体介護は算定不可
- ただし、排泄介助など明確な身体介護があれば個別に検討
8.まとめ:ケアマネとしての“安全な整理”
迷ったときは、この3行で判断できます。
- 入口まで → 通院等乗降介助
- 入口から先(院内)で本当に介助が必要 → 身体介護
- 院内介助を「乗降介助の一部」と主張するのはNG
さらに、
- 病院→病院の移送も、居宅が始点または終点にあれば通院等乗降介助で算定OK(同一事業所)
この整理を押さえておけば、
利用者の安全を守りつつ、事業所の算定トラブルも防ぐことができます。


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