まず、今回の結論を先にまとめます。
- 高額介護(予防)サービス費の所得区分の基準額が「80.9万円」から「82.65万円」に引き上げられる。
- 老齢基礎年金の満額が80.9万円を超えるため、低所得者の自己負担が増えないように基準額を調整する改正。
- 施行日は令和8年8月1日。8月以降の利用分から新しい基準が適用される。
- 対象となる金額は「前年の公的年金等収入金額+合計所得金額」の合計額。
- 医療保険側(高額療養費など)の基準額も同じ82万6,500円に引き上げられており、介護・医療の両方で整合が取られている。
ここから、介護保険に関わる人が押さえておきたいポイントを順番に整理していきます。
介護保険最新情報 Vol.1516のポイント概要
介護保険最新情報 Vol.1516の位置づけ
- 今回の情報は、「健康保険法施行令等の一部を改正する政令の公布について」を知らせるものです。
- その中で、介護保険に関係する部分として、 高額介護(予防)サービス費の所得区分に使う基準額の見直しが示されています。
- 通知は、都道府県知事・市町村長あてに出されており、 関係者・関係団体への周知徹底と、運用に遺漏がないようにと求めています。
高額介護(予防)サービス費とは
- 利用者が1か月に支払った介護サービスの自己負担額が、 所得区分ごとに決められた負担上限月額を超えた場合に、 超えた分が高額介護(予防)サービス費として支給される仕組みです。
- つまり、 「介護サービスの自己負担が、一定額を超えたときに戻ってくるお金」 とイメージするとわかりやすいです。
所得区分と負担上限月額の関係
- 高額介護(予防)サービス費の負担上限月額は、 利用者の所得区分によって変わります。
- 所得区分を決めるときに使う基準のひとつが、 「前年の公的年金等収入金額+合計所得金額」です。
- 今回の改正は、この「基準額の数字」そのものを見直すものです。
介護保険最新情報 Vol.1516で変わる所得区分基準
基準額「80.9万円」→「82.65万円」への見直し
通知では、次のように示されています。
- これまで: 高額介護(予防)サービス費の所得区分の基準の一部として 「前年の公的年金等収入金額+合計所得金額が80.9万円以下」 という条件が使われていた。
- 改正後: この「80.9万円」の部分を 「82.65万円」に見直す。
条文上は、介護保険法施行令の次の規定が改正されます。
- 介護保険法施行令第22条の2の2
- 介護保険法施行令第29条の2の2
ここで使われている金額が、80万9,000円 → 82万6,500円に変更されます。
なぜ基準額を引き上げるのか
通知では、改正の趣旨として次のように説明されています。
- 令和7年の老齢基礎年金(満額)が、 80.9万円を超える見込みであること。
- もし基準額をそのままにしておくと、 老齢基礎年金の増額によって、 低所得の人が「基準額を超えた」とみなされ、自己負担が増えてしまう可能性がある。
- それを避けるために、 基準額を82.65万円に引き上げ、低所得者の自己負担に影響が出ないようにする、 という考え方です。
施行時期と適用のタイミング
令和8年8月1日から施行
- 政令の施行日は、 令和8年8月1日とされています。
- 介護保険の高額介護(予防)サービス費については、 令和8年8月以降に行われたサービス分から、新しい基準額が適用されます。
令和8年7月以前の利用分は「従前どおり」
附則では、経過措置として次のように整理されています。
- 令和8年7月以前に行われた介護サービスについては、 高額介護(予防)サービス費の支給は、 改正前の基準(80.9万円)に基づいて行う。
- 令和8年8月以降に行われた介護サービスについては、 改正後の基準(82.65万円)に基づいて支給する。
つまり、 「サービス提供月がいつか」で、どの基準を使うかが決まる、という整理です。
現場で確認しておきたい実務ポイント
ケアマネジャー・相談支援の視点
- 利用者・家族への説明
- 「高額介護サービス費の仕組みは変わらないが、 所得区分を決めるときの基準額が少し上がる」 というイメージで伝えると理解されやすいです。
- 「年金が少し増えたことで、かえって負担が増えないようにするための調整」 と説明すると、納得感が出やすくなります。
- 低所得の利用者への影響確認
- これまで「80.9万円以下」の区分に入っていた人が、 基準額の引き上げにより、引き続き同じ区分にとどまれるようにする改正です。
- 実務上は、 「急に自己負担が増える人が出ないようにするための見直し」 と押さえておくとよいです。
市町村・保険者の視点
- システム改修・事務処理
- 高額介護(予防)サービス費の支給判定に使う基準額を、 82.65万円に変更する設定が必要になります。
- 令和8年8月サービス分から新基準を使うため、 対象月の判定ロジックの確認も重要です。
- 住民向け広報・パンフレット
- 高額介護サービス費の説明資料やホームページに、 基準額の数字を記載している場合は、82.65万円に更新する必要があります。
利用者・家族への説明のコツ
- ポイントは「負担が増えないようにするための見直し」
- 「年金が上がったから、介護の自己負担も増える」という不安を持つ人に対して、 「その影響を抑えるために、基準額も上げる」という流れを伝えると安心してもらえます。
- 数字はシンプルに伝える
- 詳しい条文や条番号までは説明せず、 「基準となる金額が少し上がることで、今までと同じように高額介護サービス費が使えるようにする」 というレベルで十分な場面も多いです。
医療保険側との関係(高額療養費など)
今回の政令は、介護保険だけでなく、次の制度にも関係しています。
- 健康保険法施行令
- 船員保険法施行令
- 国民健康保険法施行令
- 高齢者の医療の確保に関する法律施行令
これらの政令でも、 高額療養費や介護合算の基準額「80万6,700円」→「82万6,500円」 といった見直しが行われています。
介護保険の高額介護(予防)サービス費と、 医療保険の高額療養費・介護合算制度は、 「自己負担の上限を決める」という点でつながっているため、 今回のようにまとめて基準額を見直す形が取られています。
関連する政令・通知・資料(介護保険最新情報 Vol.1516の根拠)
本文の根拠となる主な資料は次のとおりです。 (いずれも厚生労働省ホームページ掲載)
- 「健康保険法施行令等の一部を改正する政令の公布について(通知)」 介護保険最新情報 Vol.1516(老発0625第3号) 高額介護(予防)サービス費の所得区分基準額見直しの趣旨・内容・施行期日が示されています。 (例:
https://www.mhlw.go.jp/content/001715374.pdf) - 「健康保険法施行令等の一部を改正する政令(令和8年政令第219号)」官報掲載分 健康保険・国保・後期高齢者医療・介護保険施行令の改正条文と附則(経過措置)が記載されています。 (例:
https://www.mhlw.go.jp/content/001715558.pdf) - 介護保険最新情報掲載ページ(厚生労働省) 介護保険最新情報 Vol.1516を含む最新の通知一覧。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/index_00010.html


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